第40話 衝撃③

春はしばらく泣きじゃくっていた。そのうちに、段々と呼吸が整ってきて、泣き声も静かになった。体を起こして、ポケットのハンカチを出し、鈴の布団についた涙を拭いた。そして自分の顔の涙を拭いた。またしばらく、そのまま鈴を見つめていた。鈴の最後の姿を、記憶に留めようとしているかのようだった。そして春は立ち上がった。

「翔、鈴と2人きりになれるのは、もう最後になると思う。私も外に出てるから」

翔は無反応だったが、春はそう言って、外へと出て行った。

春が出て行ってからしばらくして、やっと翔の思考が働き出した。今目の前で起きていることを、一生懸命認識し始めた。

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