第43話 帰路
鈴の家から離れると、優が話し出した。
「本当に‥‥いきなりでビックリしたよ‥‥。人が死ぬ時って、本当にいきなり起こるんだな‥‥‥鈴ちゃん‥‥本当にいい子だったのに‥‥」
2人はなんとなく頷いてるような、それとも歩いている動きでなのかわからないぐらいに、本当に小さく頭を縦に振った。
「翔、大丈夫?」
春が翔に問いかけた。
「うん‥‥」
翔は力無い返事を返した。
「俺ちょっと、一人で歩いて帰るわ‥」
翔はそう言うと、駅の方向ではなく、昨日鈴と別れてから歩いて帰った道へと進み出した。
「あ、うん‥‥翔‥‥変な気起こさないでよ‥‥ちゃんと家に帰ってよ‥‥」
春が心配そうに翔に言った。
「うん、それは大丈夫だよ。ちょっと一人でいたいから‥‥」
そう言って、翔は去って行った。春と優は、静かに翔の背中を見送り、再び駅へ向って歩き出した。
「翔本当に大丈夫かな」
春が心配そうに言った。
「大丈夫だよ。ショックは受けてるけども、変な気起こすような奴じゃない。一人で色々考えたい時もあるよ」
優はたまにまともな返事を返してくるので、説得力がある。そして人の気持ちを汲み取る能力が高い。春も心配ながらも腑に落とすしかなかった。
「また明日翔の様子見て、うまく話したらいいと思う。俺達には、翔の気持ちは理解できることはないから‥‥」
「そうだね‥‥私と鈴は私と鈴での関係があって、翔と鈴は翔と鈴で、2人にしかわからないことがあるからね‥‥」
「うん、そうだよ。あー、なんかお腹空いたな。春、久しぶりにラーメン付き合ってよ」
「えぇー、カロリー高いよ‥‥」
「大丈夫大丈夫。あのラーメン屋さんに行きたいなって‥‥」
「あ、あそこね‥‥行こうか‥‥」
優の声は震えていた。春もそれに気付き、つられて涙を流した。2人は4人の思い出の場所のであるラーメン屋さんに向かった。4人じゃないとわからない、4人での思い出の場所。そういう思い出の地へと行けば、鈴の供養にもなるのかなと、若いながらにも思った2人だった‥‥。
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