第33話 異変
た。
「ダメだ、電源が入ってないみたいで繋がらない」
「え?本当に?」
翔もその場で電話をしてみたが、聞こえるのは携帯の電源が入っていないという音声案内だった。
「本当だ‥‥」
「本当に鈴どうしたんだろ‥‥」
「うーん、心配だけど‥‥とりあえず連絡くるまで待ってみようか?もしかしたら、先生が何か教えてくれるかもしれないし‥‥」
「うん、そうだね。とりあえず私達はいつも通り過ごすしかないよね」
2人はモヤモヤしている気持ちを抑えて別れた。しかし、2人とも気が気ではなかった。
翔が次の授業の教室に向かう途中で、後ろから優が追いかけてきた。
「翔おはよーさん。今日の調子はどうだい?昨日はさぞかし鈴ちゃんとお楽しみだったんでしょ?」
優はこのこのぉと、茶化すように話しかけてきた。
「あ、優‥‥おはよう。あ、うん、昨日はとっても楽しかったよ」
ちゃんと答えてはいるが、覇気のない気の抜けた、心ここに在らずの返事が返ってきた。その様子に、優は驚いた。
「え?楽しかったんでしょ?それなのに‥‥大丈夫か?なんか変だぞ?どうした?」
心配そうな顔をしながら、優は翔に聞いた。
「なんか‥‥鈴ちゃんが行方不明なんだ‥‥」
「えっ?行方不明?どういうこと?捜索願とか出してるの?」
「あ、いや、そういうんじゃなく‥‥でも、そうなのか‥‥うーん、わからない」
「よく意味がわからないな。うーんと‥‥鈴ちゃんと会ってないの?」
「うん、会ってない」
「じゃあ朝は一緒に来なかったの?」
「うん、1人できた」
「昨日はねずみ遊園地行ったんだよな?」
「うん、行った‥‥行ったんだよ‥‥楽しかったんだよ‥‥幸せだったんだよ‥‥」
そう言いながら、翔は静かに泣き出した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます