第32話 寝坊②
『鈴ちゃん怒ってるかな‥‥顔合わせても無視されちゃうかもな‥‥』
そう思いながら、翔は学校へと急いだ。
急いだおかげで思っていたよりも早く着くことができ、出欠には十分間に合う時間だった。翔は安心して自分の席に座り、朝のホームルームが始まるのを待った。
鈴と一緒に登校できなかったが、それ以外はいつもと何も変わらなかった。ホームルームが終わり、授業開始までの休み時間になった。
『とりあえず鈴ちゃんの様子を見に行こう‥‥』そう思い、次の授業に向かう前に鈴の様子を見に行こうと教室を出た。すると、そこに春の姿があった。
「翔、おはよう」
「あ、春‥‥おはよう‥‥」
翔はどことなく気まづく返事を返した。『きっと鈴ちゃんのことだな‥春が間に入ってくれてるのかな‥‥』翔はそう思い、春に聞いた。
「鈴ちゃんの‥‥こと‥‥?」
「うん、そう、鈴のことだよ」
「鈴ちゃん怒ってる‥‥?」
「え?何が?」
「イヤ、俺が鈴ちゃんと待ち合わせしてるいつもの時間に遅刻しちゃったからさ‥‥」
「え?そうなの?知らなかった」
「え?知らない?ん?鈴ちゃん‥‥怒ってないの?」
「怒ってないというか、鈴が学校に来てないんだよ。それで翔なら何か知ってるかと思って」
「え?鈴ちゃん学校来てないの?知らなかった。俺はてっきり待ち合わせに遅刻したから、鈴ちゃんが怒って先に行っちゃったのかと思ってた‥‥」
「あ、遅刻したんだ。じゃあ翔も鈴に会ってないし、いない理由も知らないんだね」
「うん、わからない。LINEしても返事ないし既読もつかないし‥‥」
「鈴にしては珍しいよね‥‥何かあったのかな‥‥」
「うん‥‥なんか心配になってきた。春にも連絡ないって‥‥どうしたんだろ‥‥」
「私ちょっと電話してみる」
春はそういうと、廊下の端に行き、コソコソと電話をかけ始めた。何度か画面を触ったり耳に当てたりして、翔のところへ戻ってきた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます