第2話 翔と鈴
「ねぇねぇカッくん、明日楽しみだねぇ~」
のろけた感じでゆっくりと鈴が言った。
「あ、うん、そうだね。そうか、明日だったね。なんだか明日っていう実感が沸かないなぁ」
「カッくんが頑張ってチケット取ってくれたのに、大丈夫?」
クスクスと笑うような表情で鈴が言った。
「大丈夫だよ、実感ないだけでちゃんと準備はしてるから。俺も楽しみにしてるよ」
翔は笑顔でそう返した。鈴も笑顔で頷いた。
明日は2人でネズミ遊園地へ行く予定だ。大人気の遊園地で、チケットすらなかなか取れない。大人気過ぎて、来園した人がほとんど遊ぶことができずに一日終わってしまう、という苦情が多発し、社会問題になり、日々のチケット販売にも制限がかかっている。そのせいで、なお一層チケットがなかなか取れないのだ。ネット等では高額で売買されていることもあり、チケットは転売禁止になっているので、たまにニュースで逮捕者を聞くこともある。翔は鈴と一緒に行く為に、一晩中チケットサイトと睨めっこをし、なんとか手に入れることができた。
そんな会話をしながらトボトボ歩いているうちに、学校へ着いた。
「鈴、翔、おはよう。今日も2人で仲良く登校しちゃって。2人は本当に仲良しだな」
朝から茶化すように話しかけてきたのは春ハルだ。春は鈴の一番の友達で、翔達を付き合いだしてからずっと暖かく見守ってくれている、鈴のクラスメイトだ。去年はみんな同じクラスだったが、翔は鈴達とは違うクラスになった。
「おい春、朝から茶化すなよ」
と翔が言うと鈴は
「カッくん、私の友達いじめないでー」
とふざけ半分で翔に言いながら、鈴は春に抱きついた。
「そっちの2人の方が仲良しじゃん」
と翔が言うと、春は勝ち誇った顔で翔の方を見た。
「じゃあカッくん、また帰りにね」
鈴がそういうと、春と2人で仲良く翔に手を振って、教室に向かって行った。翔も自分の教室に向かった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます