第3話 翔と優
教室に入ると、優ユウが近づいてきた。優は去年から同じクラスで、高校に入ってから一番最初にできた友達だ。優も翔と鈴のことを翔が片思いの時から知っている。
「おう、翔おはよう。明日ネズミ遊園地行くんだって?いいなぁー、俺も行きてえなぁー」
「おぉ、優、おはよう。お前も彼女と行けばいいじゃん。というか、なんで知ってるの?」
「あぁ、春から聞いた。春も羨ましがってたよ。春は別に彼氏作って彼氏と行きたいとかじゃないみたいだけど。ネズミ遊園地自体が羨ましいみたいなこと言ってたな」
「そっか。まぁ、本当にチケット取るの大変だったからな。周りから羨ましがられないと、俺の努力も報われん!」
「そうだよなぁ」
と言いながら2人で笑った。
「お前も彼女の為に頑張ってチケット取ったら?」
「あぁ‥‥正直今の彼女とは行く気にならなくて‥‥一応付き合ってるけど、なぁんか違うんだよなぁ」
「もしや、また飽きたのか?お前は本当に続かないなぁ。一途という言葉を知らないのか?」
そう、優は世に言うチャラ男に近い感じだ。見た目も全然派手とかでなく、特別カッコイイわけでもないが、なぜか女の子が寄ってくる。付き合う彼女も、失礼な話だか、凄いカワイイというわけでもなく、だからと言って可愛くないという感じでもない。なぜ取っかえ引っ変え女の子と付き合えるのかは謎だ。優しい‥‥のかな‥‥確かに名前は優だが‥‥
「翔、この話誰にも言うなよ。実はさ、この前彼女と大人のホテルに行ったんだよ」
「おぉ、マジか。お前もいやらしい奴だな。それで?」
「イヤイヤ、違う彼女と他のホテルには行ったことあるから、初めてってわけじゃないんだけど。そのホテルで初めての体験をした。」
「おっ、何があったんだ?どんなことしたんだよ」
笑いながら翔が聞くと、優は真面目な顔になり言った。
「大人のホテルだからな、翔の想像の通り彼女とエッチをした。そこは別に問題ないからいいんだけど、それで、エッチが終わって2人でベッドに並んで寝転んだ時だよ。何か人の視線を感じたんだよ」
「えっ?人の視線?部屋は密室じゃないの?」
「そう密室なんだよ。でも、何か視線を感じたんだよ。そう感じていた瞬間、彼女はなぜかいきなりベッドに潜ったんだよ。それで、どうしたの?って聞いたら、向こうを見てって言うんだ。向こうって言われてもわからないから、部屋を見回してみたんだ。そしたら、いたんだよ。未練仏が」
「えっ?入った時に気づかなかったの?」
「イヤ、入った時にはいなかった。俺は必ず入った時に確認するから。いくら死んだ人でも、見られるのはイヤだからね。だから必ず確認してる」
「てことは?そんなタイミングで?」
「うん、たぶんそうだ。俺達がエッチしてる時に死んでしまい、あのホテルのあの部屋に未練があって、現れたんだと思う」
「本当に凄いタイミングだな。それでどうしたんだ?」
「フロントに電話して、部屋を替えてもらえた。きっとあの未練仏はあの後強制成仏させられたと思う。」
「そっかぁ‥‥‥そうだよな‥‥‥」
キーンコーンカーンコーン学校のチャイムが鳴った。
「翔、ヤバいぞ、一限目体育だ。どうりで周りが静かだなと思ったら、みんな校庭に出てるぞ。急がないと怒られる」
翔と優は、急いで着替えて校庭へと出ていった。
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