十一噺 共通の趣味

 のだめカンタービレは父が集めていた。音楽系の部活をしていた私と芸大でピアノを専攻していた母に割って入ることが出来ない父が最終手段として考え付いたのがのだめカンタービレである。私と話す機会が欲しくて普段読まない漫画を読んだ。


 本の読み聞かせに司馬遼太郎の竜馬がゆくを選んだ父にしては上出来だ。


 八巻だけないのだ。十八巻持っているうちの八巻だけない。

 これは一大事だ。十八巻だけ無いのは我慢出来るのに八巻だけない。

 愛蔵版というのがあるらしい。だが、前回書いたように本が入るスペースはない。愛蔵版が増えたらもっと泥棒が入った部屋になる。


 どうしてだ。なぜ私には四畳半と寝室しかないのだ。


 もっと高い部屋に住めばいいとのことか。

 もう朝だ。少し寝てまたいつもの生活に戻る。


 今、六時を過ぎた。

 おやすみなさい。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る