十噺 どう見ても葬式だろ
お寺の多い街で父の従兄弟Bと歩いていた。父がまだ存命だった頃、定期的に私はじゃないのに従兄弟会というものをその従兄弟Bと企画していた。
Bは若いお兄ちゃんで歳もそう離れていない。若干マザコンで、頭は理論派ではなく直感派。授かり婚をして、三人の娘の父である。
私の祖母の葬儀でコンビニからの帰りにお寺に戻ろうとしていた。Bは喪服で私は喪服の上にパーカーを羽織っていた。
いまだに何故か分からないけど、お寺の周りがビジネスホテル街(だとこの時は思っていた)で、なぜか玄関におばちゃんが立っていた。朝だったし、掃除かなって思った。
「そこのお兄ちゃん。ええ、部屋空いてるよ」
当時、無知だった私は休憩の文字を見て、ティータイムか何かだと思っていた。するといつもはぼんやりしているBに手を引かれて寺に戻った。
私は葬儀の数年後、休憩の意味を知る。喪服着ているのだから、葬儀に決まっているだろ。
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