第20話 アタック開始
そしてアタック日当日。
今の時間帯……当然夜だ。
その日の日中に、遺跡の開封が行われ。
明日の同じ時間、再封印が行われる。
その間だけ、遺跡の攻略が現実的に可能になるんだけど……
その間、警備してる奴らがいるんよな。
どういうのが担当しているのかは分からず仕舞いだったけど。
まあ、それなりに腕利きなのは間違いないよ。
逆に、ここで金をケチるヤツはハッキリ言って死んだ方が良い。
存在が不快だ。そういう愚かさは害悪。
「ちょっとここで待ってて欲しい」
一緒に来ている仲間……ネコ、ベネット、ガイザー。
ちなみに骸骨兵たちは置いてきた。
とりあえずその3名に、単独行動を申し出る。
「分かりました先生」
「分かりました」
「承知しましたわ」
仲間3名への断りを終えて。
「ん」
モロス君も僕の行動を認めるように頷く。
それを確認してから
僕は着ていた牙のローブを脱いだ。
僕のその行動に、ネコ以外のメンバーが動揺を見せたけど……。
別に露出狂じゃないからね僕は。
理由があってやってるんだよ。
隠密行動には向かんのよ。
牙のローブ。
だからまあ、下着姿になったんだけど。
僕は黒い下着上下の姿。
黒だから隠密に少しは向いてるかもしれない。
「さて、警備の冒険者は……」
そんなことを小声で言いながら
「マハル カルフ アレーズ オント」
魔力魔法第5位階の「視力増強」の魔法。
「マクラ ヌートリナ カルフ オント」
同じく魔力魔法第5位階の「暗視」の魔法。
「ヌートリナ カルフ オント」
魔力魔法第2位階の「透視」の魔法。
重点的に3回使用。
大盤振る舞いだ。
これで僕は視力が増強された状況で、暗視が効き、障害物も見通せる。
偵察には最適の状態。
よし。
僕は繁みに身を隠しながらそっと進む。
すると
なんか石板を囲って、数人の人影がある。
……多分あの石板は遺跡の入口の蓋だな。
そこを囲んで、冒険者パーティーが番をしてるってわけか。
よしよしよし。
メンバーは……
魔法使いのヒュームの女の子。
杖を持ってるから、魔術師かな。
位階は……杖を持ってるということは、そんなに高くない、と思う。
絶対では無いけどね。
杖は魔力魔法の成功率を上げるためのものなので、ある程度習熟したら手放すのが常識なのだけど。
それを未だに使っているということは……多分そうだろうな。
……なんで手放すのか?
いやね、それはレベルの高い話になるんだけど。
魔力魔法の最終位階にある究極の攻撃魔法が、両手で印を組むので。
それに備えて、早い内から杖無しの魔力魔法行使に慣れておく。
そういう意識の表れなのね。
いつまで経っても杖を手放さないのは、自分は最終位階を目指してませんという意思表示に見えるので、向上心が無いみたいでみっともないんだよ。
世間体気にしないタイプは、いつまで経っても杖を手放さないけどね。
魔法の行使という一点では、杖があった方が有利になるのは間違いないんだけどさ。
話を戻して。
他のメンバーは……弓使い戦士が1名。
あとは鎖帷子、それと剣と槍で武装している戦士が2名。
その他は神官か……。モーニングスターと革鎧とで武装している。それが1名。
合計5名の冒険者。
全員種族はヒュームだな。
魔術師の女の子と一緒だわ。
ケットシーや、ドワーフが居なくて良かった。
ケットシーとドワーフは種族的特徴で、暗視能力あるからなぁ。
ヒューム相手なら、闇が僕の味方になる。
……さて。
女の子は1人か。
好都合だな。
……ちょっと外道だけど、殺すよりはマシなんだから許してくれ。
そう思いながら、僕はそのパーティーを見守っていた。
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