第10話 少年に会いに行こう
村はずれの休憩所。
元々は猟師の休憩所だったらしいんだけど。
そっち方面の狩場に、厄介な魔物が出没するようになってきたので。
今はほぼ使われていないらしい。
そこに少年の生首が出る。
何かな?
所謂幽霊……つまりスペクターだろうか?
可能性として一番高いのはそれだけど。
まあ、見てみないと分からないところあるし。
ここは思い悩んでもしょうがない。
それよりも。
僕は普段医者として働いているときに着用している白い貫頭衣と、白衣を脱ぎ。
赤いタンクトップと、白のハーフパンツに着替える。
……少年に会うんだからな。
衣服には気合を入れないと。
当然、タンクトップは少しサイズが小さくて。
僕の身体の線が綺麗に出るカタチ。
ふふん。
少年め。
待っていろ。
姿見の前でポーズを決める。
で。
別室に保管している、僕の作品たちを起動する。
骸骨兵……ボーン・ゴーレムたちを。
「骸骨1号ジード、起動」
……巨漢の山賊……山賊王ジードを名乗ってた男の骨を主成分に、熊の骨を混ぜて作成してみた逸品。
これをやると、ボーン・ゴーレムの腕力が上昇するのではないか?
その仮説を立てる切っ掛けになった作品だ。
色々調べてるんだけどさ……これについては自信はあるけど、まだ確証が持てんのよ。
もっとサンプル数が欲しいよね……骨。
「骸骨2号イザベル、起きろ」
これはイザールっていう二刀流の剣使いの邪教神官と、ベルストっていう格闘家の邪教神官の骨を混ぜ合わせて作った作品。
ベルストは身のこなしが軽くて、回避能力がイザールより高かったんだよね。
混ぜ合わせたら良いとこどりにならないかなと思って、試した。
やってみたら、多分僕の仮説は正しくてさ。
嬉しかったなぁ……。
で、最後はこれ。
「骸骨3号フォーアム、出番だ」
今一番熱い作品。
人間の骨をベースに、熊の骨、タラスクの骨をミックス。
結果、4腕のボーン・ゴーレムになった。
ブレンド具合がポイントよ。
目論見通りに進むと、めっさ嬉しいよね。
……僕は今夜この3体に武装をさせて、連れて行く。
創造主の醍醐味だよ。
あー……楽しみだよなぁ。今晩。
夜になった。
お化けの時間だ。
「ネコ、ボーン・ゴーレムたちの中央に立つんだぞ。そこが一番安全なんだからな」
「はい! マギ先生!」
黒いローブに身を包み、魔術師の杖を片手にしているネコに、警戒を呼び掛ける。
トライアングルの頂点に立つ3体のボーン・ゴーレム。
それぞれ……
ジードは両手持ち戦斧。イザベルは打刀二振り。そしてフォーアムはナイフ4本。
そのナイフのうち1本は、麻痺毒が永久に浮き上がってくる魔法の短剣。
……こいつらの性能を試すのもウキウキする。
そしてカンテラ片手にしばらく歩いていくと。
休憩所が見えて来た。
……で。
誰かが襲われていた。
襲われてるのは1人で、おそらく男性。
そして襲っているのは……
見たところ……黒い犬。
黒い犬……ブラックドックか!
僕は駆け出す。
「マギ先生!」
ネコが慌てたが、悪い。
事は一刻を争う。
ブラックドックは危険な魔物だ。
牙に雷の力があって、噛み付いた相手を感電させる。
感電による痺れというものは、人間の脳と肉体の情報伝達を分断させるため起こるので、根性ではどうにもならないんだよね。
だから物量で来られると非常にマズイ。
状況的に不味い!
助けないと!
そしてあとひとつ。
あいつら自身は電撃では傷つかない。
だから僕はネコに釘を刺す。
一言だけ。
「電撃放射は効かないから絶対使うな!」
魔力魔法第3位階で、魔術師は電撃放射を扱えるようになるけど。
そこで自信を増した魔術師の心をへし折る魔物でもあるんだ。
だから別名『魔術師殺し』とも言うんだよね。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます