第9話 死のラブレターその7

へぇ、結構面白いことする。


 

 少し彼女を観察していたが、非常に興味深いことをする


 彼女は掃除道具入れの中に自分で持ってきていた、箒を入れ始めた。それも二本、確かに形状が箒ならば、周りにも怪しまれないし、足りてないお粗末な頭の割には、まぁまぁ考えられてる…。 必死だな…。


 アイマスクを中に放り投げると、ソレは今度は弁当箱に変わった。


 ソレは朝、キサロから受け取った弁当箱だ。


 オレは手早く、包を取り弁当箱を開けた。


 弁当箱の中に入っているのは、食事ではなく、ただ一丁のやけに拳銃とサプレッサー。

 そしてまるで小さなダーツの矢が数本入っていた。


 この拳銃のことはよく知っている。

 この拳銃は本来の役目を失った素晴らしき代物。


 


 拳銃の形状は、警察官が、持っているリボルバータイプではなく、オートマチック式の、ハンドガンだ。それに、一般的な銃よりかなり奇抜な形で、まず折りたたみ式の銃身は展開するとかなり長い、そして一番の特徴は、その銃口の小ささにある。


 その銃口の、小ささでは、どんなものでも、射出できない。一部、この拳銃のために造られた、専用弾を除いて。


 そしてこの専用弾というのが、このダーツの矢のような形状をした弾だ。 


 この拳銃は、銃として本来持つべき殺傷能力を極限まで、削って代わりに、隠密性を極限まで追求した銃だ。


 銃としての役割は果てせていないが、オレ達のようなセコいやつに好んで使われている愛され者だ。、

オートマチック式なのにもそれが、関係している。

 

 リボルバーだと、薬莢の形状手的にサプレッサーが意味をなさない、この拳銃はそういう意味でもオートマチック式に作られている。 



 オレは極小の専用弾を、素早く装填して、斐川に銃口を向けた。確実に1キロ以上はここから離れているが、この拳銃は計量された弾のおかげと、長い銃身の機構で、スナイパーライフル並の射程を獲得しているので問題はない。


 もっとも、軽量化された弾なので、風を読んだ、偏差撃ちが、求められる上、この拳銃には当然、スコープに値するものもないので、当てるのは至難だ。


 打ち慣れている、流石の俺でも、失敗したらどうしようと今思いながら狙いを必死に定めている。


「当たれ…。 頼むぞ…! 」


 口から漏れ出た言葉とともに、引き金を引くと、弾は見事、彼女の背中に命中した。 


「よし!」


思わずガッツポーズをした。 目がいいので、確かに彼女の背中に命中したのを確認した。


 オレは、再び布団に戻り、ポケットに入れていた。スマホを開いて、GPS機能付きのマップアプリを開いた。 


 すると、アイコンはしっかりと彼女のいる場所を指していた。 気づかれてもいないみたいだ。


 極小専用弾には、毒も仕込んで、本来の殺傷能力をカバーすることは出来るが、今回はその代わりに超小型の、GPSを仕込んである。 彼女の居場所を、スマホを通じて把握できるのは、そういうカラクリがあるからだ。


 何もかも、うまくいったオレは再び布団に潜り、安心して昼食時を知らせる、チャイムがなるまで、爆睡した。


 





 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る