第2話 強谷賢吾も嫌われる

僕こと強谷賢吾(スエヤケンゴ)は、どうやらこの世界に「転生」したらしい。

らしいというのはまだ自分が転生したと確信できていないためだが、自分が前の世界で死んだことは記憶に残っている。

死因は風邪が悪化して肺炎になりそこから重症化、呼吸困難に陥り死亡した。

僕の母親は育児放棄気味の人で、しょっちゅう家を空けては何日も帰ってこないことが普通だった。

男の家に入り浸っていたようだ。

父親はいたかどうかすら覚えていない。

シングルマザーであったことは確実だ。

母親が外出した時の食事代は、テーブルに置かれていた千円のみ。

何を食べていたかなどの記憶もない。

とにかくなんとか食いつないでいたことだけは記憶に残っている。

そしてある日風邪を引いた僕は、母親に寝ていれば治ると放っておかれて肺炎まで悪化した。

喘息もちだった僕は気管支の炎症がひどくなり、最後のころは息することすら辛かったことを覚えている。

母親は僕が死ぬまで帰ってこなかった。

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