第30話 事後処理

 夕方の街中にサイレンの音が鳴り響く誰もが分かる警察が急行してくる時に鳴らすサイレンの音が俺達の所へとどんどん近づいてくるように聞こえる。


「幸広、総司、逃げるわよ捕まるとめんどくさいし」

「わかった」

「僕たちは悪くないけどね」

「不良集団も逃げなさい、捕まっても私達の事は喋るんじゃないわよ!いいわね?」


 楓はそう言うと返事も聞かずに走り出した、それに俺と幸広も追いかけるように走り出した、喧嘩した現場から離れてもう歩いても大丈夫かと思い一度止まって息を整える。


「そういえば楓は何であそこに居たんだ?」

「ヨーカトーに買い物に行った帰り道よ、人だかりが出来てたから行ってみたら絡まれたから殴ったわ」

「楓ちゃんに絡むなんて命知らずな……」

「何?」

「なんでもないです」


 たまたま近くに居ただけだったようだ、でも居て助かった、さすがにあの人数を相手にするのはめんどくさかったからな。


「とりあえず助かったよ、サンキューな」

「祭りがあるなら次は初めから呼びなさい!」

「祭りでは無いと思うのは僕だけかな?」


 楓達に感謝を伝え、本日は解散となり今日は各自帰宅する事となり。

 こうして黒狼とのいざこざは一日で終わった……そう思っていた。


 次の日の昼頃、昨日の件もあるため体がなまら無いようにランニングする事にして寮から外に出ると黒狼のリーダー黒羽がそこに居た。


「おはようございます!!総長!!」

「朝からうるさいわっ!」

「すいやせん」


 朝からまた黒狼のメンバーに会う事になるとはさすがに俺も考えてもなかった、それと総長ってのは何かを聞いてみると悪童の下に黒狼はつきましたので実質的に悪童の御三方がトップになるらしい。


「総長は分かったけど、なんで俺なんだよ?そういうのは楓あたりがやりたがると思ったんだけどな」

「昨日のうちに楓の姐さんにお伝えしたんですが私は特攻隊長よ!と仰っていまして幸広の兄貴はじゃあ参謀かなとの事でしたので」

「あー……そうかぁ、まぁお前らがもう悪さしないならそれで問題はないから適当にな」


 そこいらの事は身をもって痛い目を見たので分かっているとの事だったので俺からは何も言う事がないんだが、黒羽は他の事に関して心配事があるそうだ。


 なんでも黒狼が潰れた事はスグに広まり各色のチームが黒狼の縄張りにちょっかいをかけてくる可能性があるそうだ。

 応戦しなければ迎え撃つ気が無いと言う事になりどんどん侵略されていき、結果的にまた黒狼が居た頃のように治安は悪くなっていき場合によってはもっと治安が悪くなる可能性もあるそうだ。


「あーお前らより質の悪い奴らが乗り混んでくるかもって事か」

「そうっすね」

「うーむ、分かった。抑止力のお前らを潰したのは俺達だし、そういった奴らが来たら俺らも参戦してやる、だが治安維持をお前らにまかせるって感じで良いか?」


 これなら俺達の本業のダンジョン攻略にも差支えは無いだろうし、来ないかもしれない相手を気にするのめんどくさいしな。


「ありがとうございます!それで最後にお願いなんですが……黒狼だったら一色の黒色の服がエンブレムと言うかチームの代紋みたいなもんだったんですが、悪童一派の代紋と言うかチームロゴみたいのってないですか?」


 たしかにそういうのがあれば気持ち的に上がるよなぁ……でもそんなもん無いわけだ、俺が勝手に決めると楓あたりがうるさそうだし、この件は保留かな。


「楓と幸広に相談するから決まったら連絡するって形で良いか?」

「わかりました、本日の要件は以上になります」

「おう、下っ端にも言っとけよ、悪さは絶対にすんなって」

「はい、それでは失礼します」


 黒羽が頭を下げそのまま何処かへと去って行った、それにしても各色のチームってのも気になるがロゴ的なもんも考えないといけないのか、禁地区に居た頃には考えれないくらい様々な事が起こるもんだ、都会ってのは面白いもんだな。


「おっと、楓と幸広に相談しとかなきゃな」


 楓と幸広に冒険者手帳から連絡を入れておくとすぐに返事が返ってきて、各自でとりあえずロゴを考えて明日にでも発表会をして決めようという形で決まった。


「俺も考える事になっちまったなぁ……まぁランニングしながら適当に考えてみるか」


 今、考えても何も思いつくことも無いし俺は無心で曳舟方面へと走り出す事にした、リズム良く交互に足を動かす、最近はゲームばかりであんま運動と言う運動をしていなかったのでランニングの疲労感が心地よい、気づけば曳舟を通り過ぎて八広方面まで到着してしまった。


「おっと、そろそろ寮方面に切り返すか」


 寮方面へと切り返して帰り道のランニング途中で古本屋を見つけた、最近の漫画と言うものをあまり読んだ事がないなと思い少し読んで見るのも悪くないと考え古本屋へと入店した。



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