第25話
「ほら、トイズバトラーを出せ、こっからは実際にやって覚えるぞ」
明とハゲルにトイズバトラーを出すように指示を出し武器を構えさせ俺もトイズバトラーを起動させ木刀を構える。
「んじゃあ簡単な技からだな基礎中の基礎だ」
そう言って俺は魔剣迅を披露して見せるとハゲルも明も少し驚いてからは反論してきた。
「基礎とか言うから何やらすのかと思ったら出来るかぁ!!」
「さ、さすがに……」
初めから出来ないと決めつけているので何故この魔剣迅が基礎なのかを説明する事にした、この魔剣迅の動作はまず武器に魔力を留める、その魔力を斬撃に形成、魔力を飛ばす。
この3過程でなせる技だ、どれも魔力操作が上手ければ上手いほど素早く正確にできる技だ。
「とまぁ説明するとこんな感じだな、武器に魔力を纏えるなら武器に留める段階は簡単にできるだろ、斬撃に形成段階から練習するか」
「斬撃になった判断はどーすんだよ?」
「木刀とか木の棒とかでやってみろ、斬撃に形成できてれば草とか切れるから草原だしすぐ試してみる事もできんだろ」
そう言って俺のトイズバトラーの木刀に魔力を留めて斬撃性を付与して草原の草を軽く振って切って見せると明もハゲルも練習を開始した。
「魔力で武器の長さを強化するための魔力の維持も忘れんなよ」
「これは……難しいな……」
「僕も練習したいから一回カメラ止めるね」
「んじゃあ俺は昼寝でもしてっから何かあったら起こしてくれ」
明とハゲルの練習している所を横目にして俺は草原で横になる眠りにつく、草原で寝るとか禁地区を思い出すな、まぁ眠るために横になったのではなく魔力切れで横になってただけなんだが。
かーちゃんととーちゃんは元気にやってかなぁ、いやあの二人なら俺が居なくても平然としているか……そんな事を考えていると眠気が襲ってき俺は夢の中へと旅立った。
「総司、そんなんじゃ死ぬぞ」
「6歳だぞ!できるか」
これは……俺が引っ越してまだ1年くらい経った時の光景だな懐かしくも思うが酷い夢だな。
「総司、お前がまだクソガキだからこうしてこっちに連れて来たんだ」
「なんでだよ」
「物をあんま覚えてないのが丁度いいからだ」
当時は理不尽すぎるとも思ったが一度も泣きはしなかったっけ、かーちゃんの前で泣いてもどうにもならないし、それと当時から負けん気だけはあったって言うかかーちゃんに負けたくねぇとしか考えてなかったからな。
確かこの時は魔力をすっからかんにして倒れた所でそれでも立って走れとか言ってたっけか。
「うぐぐぐぐぐ、くそがぁぁぁ」
「その調子だ、都会で凝り固まった考えしかできん奴らよりよっぽど見込みがあるぞ」
「なにむずかしいこと言ってんだ立ったぞ」
「うむ、ナイスガッツだ、魔力が無くなったから諦めて寝てるうつけにはなるな、気合で走ってでも逃げろ」
「はぁはぁ……わかったよ」
懐かしいがあんまり思い出したくない無いようだな、確かこの後は魔力切れを起こしたままずっと走らされてたっけかぁ……
「いちゃん……」
「総司にいちゃん……」
明の声で夢の世界から強制的に起こされる、まだ寝ぼけてる目を擦りながら明の方へと向くと少しドヤ顔をして俺を見ていた。
「どうした?」
「見てて!」
そう言うと明はトイズバトラーを起動し二本の短い短剣に魔力を纏い今まで以上に安定しているように見える。
纏った魔力を上手く斬撃へと変換に成功してそのまま草原へと斬撃を放った。
「お、上手くいったな。めちゃくちゃ早いじゃねーか」
「へへん、僕だって結構トイズバトラーに関しては上手い方なんだもんね!」
「うぐぐぐぐぐ」
ハゲルの方を見てみると斬撃の形成までは出来ているようだが切り離して飛ばす過程が上手くいってないようだった。
「ハゲルにしては上達が早いじゃねーか」
「うっせぇ……俺はあいつらより強くなってこの髪型から卒業すんだ…よぉっ!!」
気合と共に放った一撃はしっかりとした魔剣迅ではあったがヒョロヒョロに飛んで行った。
「そんなんじゃあ当たりはしねーな」
「くそっ」
「まぁ初日にしては及第点だな今度からサゲルって呼んでやろう」
「嫌だよ、ならハゲルのがマシだわっ!!」
「そうかぁそこまで言うんだったらハゲルにしといてやるか」
なんだかんだこの二人は中々のセンスを持っているのか俺が教えた事を自分の物にしつつあるようだ。
「まぁトイズバトラーで出来るなら自分の体の方がやりやすいと思うがな」
「「え?」」
「あ?だってトイズバトラーって魔力操作ありきの玩具だろ?玩具を通して魔力を使うより自分だけで使った方が魔力操作しやすいだろ?」
ホレっと木刀を投げて渡してやってみろよと促すと明もハゲルも魔剣迅を簡単に放つ事に成功した。
「ま、まじかぁ」
「僕もできちゃった……」
「それにしてもトイズバトラーってのは良い玩具だよなぁ魔力操作だけで遊べるし、身体的に動き回れない子とかでも戦いながら遊べて魔力操作も学べるいい玩具だよな!」
俺の言った事を少し納得いかないような顔をした二人が俺を見て何故か黙っていた。
良い玩具だと思うだけどなぁ?
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