第13話

「とまぁ、そんな感じかな」

「いや他の属性使える説明が入ってなかったけど?」

「それはホラ、あれよ、ゲームの技を真似てたら出来た……みたいな?」

「説明になってないよ……」

「あ!かーちゃんが何か……固定のがなんちゃらかんちゃらでって言ってたかな」

「肝心な所でバカすぎる!!」

「お…おう、すまんな」


 幸広がぶつぶつ独り言を言っているので俺はビックラットの戦利品を確認するためにビックラットを倒した場所へと向かうとキラっと光る魔石が落ちていた。

 当たりを見渡すが魔石しかないようだ。


「チッしけてんな」


 幸広を見ると未だにブツブツ言っているのでとりあえず放って置いて俺は少し座って休憩しておこう。


 拾った魔石を見る、キラキラと赤く光る石で綺麗だとは思うんだが、こんなんでエネルギーの元になるってんだから不思議だなとは思う。

 まぁ金になるならなんでもいっか。


「総司君」

「ああ?独り言は終わったか?」

「考え事だよ」

「んじゃあ出て飯でも食いに行くか」

「そだね、今は……11時かぁ魔石換金は後でまとめてやろっか、ゲロ吐き公園に換金所は無いし二度手間になっちゃうしね」

「おう、まかせるわ」


 そういえばと思い帰り道の談笑がてら幸広にダンジョンに関しての質問をした。

 まず帰り道だるくねとダンジョン踏破の証に関して聞いてみる事にした。

 

 幸広が言うにはダンジョンの階層が浅い所には帰還ポータルが無いそうだ、帰還ポータルとは起動すればダンジョンの入り口に瞬時に移動できる便利なダンジョンの機能らしい。

 

 それとダンジョン踏破はボスの魔石を売れば勝手に冒険者手帳に登録されるらしい、あとPTを組んでいるのなら人数分必要になるかと思いきや1個売ればそれで済むらしい。

 基本PTは4人が最高人数らしい、詳しくは機械がなんだと幸広が言っていたがとりあえず聞き流しておいた。


「なるほどなぁ、じゃあゲロ吐き公園のダンジョンも徒歩で帰るのかー」

「まぁ、そうなるかな」

「うげぇ」

「F級だし、そんなに広くはないから気にしない気にしない」

「あっ!!てめぇ!」


 不意に響く亜門くんの叫び声、幸広と話していて気づかなかったが前から亜門くんとそのPTの人達が居た。


「全然魔物が居ないと思ったらお前たちが先に狩ったのか?」

「亜門くんじゃん、朝食ぶり、今ボス倒した帰りだぜ」

「くそっマジかよリポップまで時間かかるな、どうする?」


 亜門君達は何やら相談しているようだったので俺は幸広にリポップについて聞いておいた。

 ボス魔物は倒されても時間が立てば復活する事をリポップと言うらしく時間で言えば大体2~3時間でリポップするらしい。


「リポップは分かったけどなんでそんなオシャンティに言うんだ?復活で良くね?」

「まぁゲームで考えてみなよ、復活って言うよりリポップって横文字使って言った方がカッコよくない?」

「……確かに!!」

「納得した所でかえろっか」

「んだな、じゃあな亜門くん」


 亜門くんたちはPTで相談した結果、F級はさっさとクリアしてD級に潜れるようにしておこうとなったみたいで、ボスがリポップするまで待つ事になったそうだ。


「模紙、お前PT居たんだな」

「ん?ああ!幼馴染が居るからな」

「そっか……まあ人が足りなくなったら声かけろや」

「あーおう、分かった、じゃーなー」

 

 亜門くんはPTの方へと歩きながら手を上げて俺に向かって手を振った。

 何あれ、カッコよ今度俺もやろうと決意し幸広とダンジョンから無事帰還した。


「さてっと何処で飯食べる?またダンジョン潜るし軽めに済ませておく?」

「あーそうだなー……商店街に行こうぜ!買い食い揚げたて!」

「あーお肉屋さんね保育園の頃何回か食べにいったね、いこっか」


 マンモス公園から出て商店街の方へと移動してい途中に駄菓子屋があった、確かここは小さい頃に来た事がある駄菓子屋だったはず。


「なっつかしいなぁ」

「あ、覚えてたんだ」

「ここの駄菓子屋は良く来てたよな?」

「毎週、土日は大抵ココで待ち合わせしてたからね」

「飯食ったら後で寄ろうぜ」

「はは、いいね」


 駄菓子屋も寄りたいけど今は飯を食べに行く事にし商店街の肉屋さんへと移動すると肉を揚げている独特のいい匂いがオレの鼻孔をくすぐった。


「う~んいい匂いだぁ……おっちゃん!コロッケ2つとネギま2本頂戴!」

「へぃいらっしゃい……お?おめぇは悪童の総司か?ってなると隣はゆきちゃんか?」

「おっちゃん俺達の事覚えてるの?」

「そらぁ大きくなっても面影はあるしなぁ……それに3天大戦争もあったしなぁ」

「ああ、んな事もあったなぁ」

「当時は酒のつまみにして楽しませてもらったからな」


 小さい頃にあった3天大戦争とは、簡単に言えば子供の縄張り争いみたいな事をしていた話だ。

 勝ったからと言って特には何も無いのだが子供の頃ながら闘争心がえげつなかったのだが。

春には木の枝で剣術合戦、夏は水鉄砲で合戦し秋頃には銀杏収穫バトルに冬になると雪合戦。


 今思えばただ遊んでいただけなんだが、悪童三人衆の俺達と、最速の押上三従士に最強外所家とどころけこの3つのグループが肉屋の前にある公園、原公園で争いあっていた。


「たしか原公園の事を防衛ラインって言ってたっけ」

「そうそう押上と向島から遊びに来る子達が偉そうにしてるのが気にくわないって言って楓ちゃんがね……」

「ガハハハハ、そんなおめぇらも大きくなったな!ホレ揚げたてだ持ってけ」

「あっとお金お金っと」

「次からはきっちり貰うが今日は持ってけ次は楓ちゃんも連れて買いに来な」

「おっちゃん!あざす!」

「ありがとうございます」

「おう、またこいよー」


 おっちゃんからコロッケと焼き鳥を受け取り、俺と幸広は原公園のベンチへと移動し食事をすることにした。

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