第12話 引っ越ししてから
そうだなぁ、何から話せば良いか、引っ越してからの事を話そうか。
引っ越ししてからの事を話そうか……
「総司、友達と別れさせてしまった事は悪いと思うがお前には強くなってもらう」
そう俺に言い放ったのは俺のかーちゃんだ、見た目はツリ目で茶色い髪で後ろに髪を結んでいる所謂ポニーテールと言う奴だ。
かーちゃんの趣味にとやかく言うつもりはないが右目に眼帯しているのは今でも思うがイタイと言う奴ではないのだろうか、だって見えてるらしいし。
「お前にまず必要なのは魔力量だ、魔力を使いきってみろ」
「う、うん分かった。」
俺はかーちゃんが言うように時間がかかったが魔力を使いきると脱力感と吐き気に頭痛、体の節々が痛みを感じ始めた。
「時間がかかりすぎだな、今は辛いだろう、楽にしてやる」
そう言うとかーちゃんは俺の事をぶん殴り気絶させられた。
気が付くとかーちゃんが立っていた。
「気が付いたか、では魔力を使え、それともっと魔力を自由に、手足のように扱えるようになれ」
当時は恐怖でしかなかったが3年くらい同じ事をやらされてると慣れてくるもんで魔力が枯渇した時のダルさが無くなるから気絶させられるのも楽で良いなとか思ってたかな。
それから魔力量も増えて多少魔力操作も慣れてくると今度はとーちゃんに魔物と遊ぶぞと言われ連れられていったっけ。
とーちゃんは幸広も見た事あるだろ、無精ひげに適当に切ったぼさぼさの髪の筋肉達磨だ。
「魔力量も魔力操作もまだゴミだが及第点って所だな、よし禁地区の一番雑魚のアブソスライムと遊んでみろ」
「え?」
「ああ、捕まると魔力を凄い勢いで吸われるぞ魔力操作をしっかりして吸われないようにしろよ?」
そういって俺はアブソスライムの元へ投げられスグに捕まり魔力を吸われはじめた、どうやって抵抗すれば良いかなんて分からない俺は凄い勢いで魔力を吸われ続けいつにまにか失神していた。
目が覚めると親父が立っており一言だけ助言をくれた。
「体で覚えろ」
そう言ってまた俺をアブソスライムの元へとまた投げ入れた。
アブソスライムとの魔力相撲を1年もやっていると感覚を覚え魔力の流れが分かって来た所で逆にアブソスライムの魔力を俺が吸ってやるとどうなるのだろうかと思い実行してみると過剰に魔力を摂取したのが原因なのかゲロを吐いた。
とーちゃんは俺の吐いている姿を見て大爆笑していた。
「ガハハハハハハ魔力量もねぇガキが生意気な事すっからだヒーッヒヒヒヒヒ」
ゲロを吐いてから俺も理解した、魔力を吸いすぎてもダメ吸われすぎてもダメ、丁度いい感じで綱引きをしなきゃゲロを吐くか枯渇で気絶する。
そんな地獄の生活の中でも心のオアシスはあった、それがゲームだ。
保育園の頃に買ってもらったけど外で遊ぶのが好きだった俺はあまりやってこなかったのだけど、今の環境で外にでると地獄の訓練が始まってしまうのでぼろ小屋でどうして電気は通っているのか知らんがゲームはできた。
最初は暇つぶしのつもりでやり始めたゲームだが徐々に俺はゲームへとのめりこんでいった。
特にお気に入りだったのはアクションRPGのテールズシリーズだった。
シナリオや仲間との絆、カッコいいアクションに敵をばっさばさ倒す爽快感、日々の地獄を忘れる心のオアシスとなったゲーム。
好きな物を真似て俺もゲームの主人公のような技を出せるようになりたくなるのは男なら誰しも分かる事だろう。
それからの俺は地獄の生活に加えてゲームの技を模倣して出せるように練習をしていった。
それから地獄の訓練の合間合間に練習していたが上手く行く事はなく、かーちゃんに練習している所を見られてしまった。
「お前がやりたい技はこうか?」
かーちゃんは俺がやりたい事を一度見ただけで完全に再現してみせた、この生活に恨みが無いわけでは無いが初めてかーちゃんを尊敬した。
それからかーちゃんに相談して色々な模倣技を完成させていくのはそれで楽しかった記憶だ。
「お前が来てから早くて5年くらいか、ゲームの模倣の技とは言え実戦で使い物になる事もあるだろう、実戦だ」
初めは魔力の制度が悪かったのか禁地区の魔物に傷一つ付けられなかったが1年、2年、3年と歳を重ねるごとに傷をつけられるようになっていった。
魔物を倒せるようになったのは俺が学校にくる1年くらい前だったかなぁ。
それから地獄から抜け出したくて俺は学校へと入学を強く希望して勉学に励んでいたわけ。
それはそれで大変だったんだぜ、とーちゃんも頭良いわけじゃないし、かーちゃんも勉強なんてしないで生活してたみたいでな、でも俺の我儘のためにかーちゃんも勉強して俺の勉強の面倒見てくれてたんだ。
とまぁ俺の引っ越ししてからの過ごしてきた事って言ったらこんなもんかな、そんな楽しくもない話だったろ?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます