第9話 本格的に

「ふぅあ~~~~んーーー7時かぁーー」


 良く寝た、体もスッキリ腹も減って今日も俺の体は元気だな。

 昨日の夕飯があんなに美味かったんだから朝食もすごく美味いんだろうなぁと想像していたら、俺の腹が早く食わせろと言わんばかりに腹の虫が鳴った。

 腹の虫を抑え込み今日もダンジョン探索のための準備だ、準備と言っても制服着てリュックをしょって木刀をベルトにさして終わりだ。


「さてめしめーしー」


 めしめしと口ずさんで外にでると寮母の姐さんが居た、いつでもどこにでも居るのかと少しビックリしたが日本人として挨拶は大事だ。


「おはようございやす姐さん」

「寮母です、朝食はみなさん食堂でしてもらう決まりなので食堂におこしください」

「うす」

「食堂は5Fにあります、男女共用ですのでナンパなのどはお控えください」

「ナンパなんてしないっす!うす」

「そうですか、ではいってらっしゃいませ」


 寮母の姐さんに見送られ俺はエレベーターに乗り5Fに移動し大食堂とかかれているプレートを見つけ、大食堂へと入った。

 大食堂と書かれているだけ凄く大きな食堂なのは分かるのだが利用している人が少なすぎる、回りを見ても5人くらいしか利用してないようだ。

 まぁ俺が気にしても仕方ない事だし受付を探し受付のあばちゃんに挨拶した。


「おはざす!」

「あら朝早くから元気ねぇ」

「うす!ってか全然人がいないっすね」

「あーみんなダンジョン探索とかで疲れてるのよ、だから10時くらいから大体の子は動き出すわねぇ~」

「あーそうなんすか」

「はいっと朝から元気な君には特盛サービスいっぱい食べて元気に探索よ!」

「あざす!」


 おばちゃんから朝食を受け取り見渡す限り空席なので適当に角の机に移動し朝食を置いた。

 それにしても量が多いな、白いご飯が大盛で目玉焼き2枚の厚切りベーコンが三枚にサラダと味噌汁、それと鮭の焼き魚が一尾かぁ。実家じゃ考えられないくらい豪華だな。


 まずは味噌汁だ、沈澱している味噌をかき回し全体になじませ一口、うーむ味噌の風味は朝だと余計に染み渡る気がするなぁ、具材はシンプルに大根と厚揚げだ。

 大根のしっとりとし味噌の味が若干染み込んだ感じがたまらねぇなぁ、それと厚揚げだ、味噌が染み込んでんのか作り方なのか知らねぇがすこし甘味のある感じが好きなんだよなぁ。


 そして目玉焼きに醤油をかけてご飯と一緒に一口、おっと目玉焼きは半熟で中身がトロトロだ、黄身と醤油が混ざり合うと異常なまでにご飯に合うんだよなぁ。

 そこで待ってました朝肉のベーコン、塩と胡椒で味付けされておりこれを切り分ける事などせずにガブリと一口、口の中でひろがる肉の油がたまらなく美味い。


 サラダにはオニオンドレッシングがかかっており、ドレッシングとサラダを絡めて一口、丁度良い酸味とサラダが合う合う。

 そこで味噌汁で口の中をリセットし鮭の焼き魚を食べる。

 少し強めの塩味と焼いた魚の油が絡み合いこれがまたご飯に合う。


「こんなんお上品に食ってられねぇぜぇ!うまうま……おばちゃんご飯おかわり!」

「あらあら~良く食べるわねぇご飯おかわりね待ってなさい」


  おばちゃんからご飯を受け取りおかずからサラダに味噌汁全てを残さず食べ終わり、俺の腹はパンパンになっていた。


「ふぃ~食った食った~」

「あー!!テメェは模紙!!」


 朝食の余韻に浸っているとツンツンヘアーの亜門くんが俺に向かって叫びながら近づいてきた。周りを見ると人は少ないが少し迷惑そうにしているようだった。

 んまぁこんな朝から叫ばれたら嫌な顔するってもんか。


「亜門くんじゃないか、朝から叫ぶ元気があるのは良いけど少し人の迷惑を考えなくちゃだよ」

「うるせぇ!テメェ昨日は教室からそそくさ逃げやがって!俺様が「ピロピロピロロ~」誰か」


 亜門くんが何か言っている途中で俺の冒険者手帳がコミカルな音が流れだした、たしかこの音は電話機能の音だったはずだ。


「あーごめんごめんちょっと待ってねぇ……通話は何処押すんだ?亜門くん何処押すの?」

「あ?ココだよ」


 亜門くんに通話のやり方を聞いてみると律儀に教えてくれたのでそのまま通話に出ると。


「ああ、ありがと……はいはい模紙ですが……」

「総司くん?僕僕。幸広ね、今日は何時からダンジョンに潜るか聞きたくてね」

「あー飯食い終わったし……今からかな!」

「そー言うと思って今寮の下に移動してるから下で少し待ってて」

「お、そうなのか分かった!んじゃあ下で待ってるぜ」


 ピッと電話を切ると亜門くんが何かを言いたげそうな顔で俺の電話が終わるのを律儀に待っていたようだ。


「やぁやぁお待たせ、それにしても何で待ってくれてたんだ?」

「あ?……家族からの電話とかだったら大事だからな」


 何故つかかってくるのか分からないが亜門くんは良い奴なのかもしれないなと俺は思った。


「それじゃあよぉ~電話が終わったら」

「すまん亜門くん、ゆるせ」


 食器を持っておばちゃんに渡し、俺はそそくさと移動を開始した、俺は金策にダンジョンに行かなければならいのだ、それに早く終わったらゲームショップにも見に行きたいしな。


「今日の朝食のベーコンが最高だったぜ!じゃあな」

「俺のしゃ……もういねぇし……」



 取り残された亜門くんはしぶしぶおばちゃんに朝食をお願いし席につきモクモクと朝食を食べ始めた。

「あ……ベーコンうめぇな」

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