第8話

「あらためて久しぶりね総司君」

「ああ、ボスも見てくれは変わったが昔通りの迫力だった」

「ボスは辞めて!!それになんで黙ってたのよ幸広君?」

「驚かそうと思ってね、引き合わせようとは思ってはいたけど偶然ってあるもんだね」

「まったく……それに総司君もこっちに来てるなら連絡くらいくれてもいいじゃない」

「あーこっちに来るってなってテンション上がって忘れてたわ」


 俺達は約10年ぶりの再会で昔やったいたずらの話や泣き虫マー君の事、昔のイジメっ子が今は何してるのかなど会話が弾み気が付けば19時を回っていた。


「ところで総司君と幸広君は明日からの学校はどうする予定なの?」

「俺は校外ダンジョンで金稼ぎだ、かーちゃんに自分の物は自分で稼いで生活しろと言われてな、今日もダンジョンに行ってきた帰りだ」

「あいかわらず総司君のおかあさんは厳しいわねぇ、え?じゃあ服とか日用品は一応あるのよね?」

「ははは、かーちゃんがそんな気の利いた物を用意してくれるわけないじゃないか!パンツとシャツくらいはあるが他は何もないぞ」

「え?じゃあ制服以外何もないの?」

「大丈夫、制服は2着ある」

「逆になんで2着もあるのよ、ダンジョン素材で作られてるから防具としても使えるから結構な値段するはずだけど……」

「知らん、そこらへんはかーちゃんが用意したからな!」

「じゃあ日用品はあとで僕と買いにいこうか、明日もどうせダンジョン行くんでしょ?」

「そうだな、ささっとF級は踏破できるの分かったしな」

「じゃあ明日はF級踏破したら買い物に行こうか、楓ちゃんは?」

「私は明日、剣術けんじゅつの受講を受けちゃっているから、それが終わったら付き合えるわ」

拳術けんじゅつかぁ」

「そっ!じゃあ終わったら連絡するから手帳で連絡先交換しておきましょ」


 楓と幸広と連絡を交換し、楓は明日の準備があるからとの事で先に帰り幸広は俺の日用品の買い出しへ向かう事にした。


「あ、そうだ、ちょっと待っててくれ」

「どうしたの?」


 俺はドートルの店員にお持ち帰りが出来るかを確認し、俺が言っても注文は出来ない事は分かっているので女性に人気なメニューを聞きテイクアウトする事が出来た。


「家でも飲むの?」

「いやお世話になるからな、一応手土産だ」

「ああ、寮のね、マメだね」

「いいから行こうぜ、夕飯まで時間ないし」

 

 幸広と服以外の日用品を購入するためにコンビニへと向かう事になり、都会のお店は24時間やっている所もあるそうで誰が深夜に買いに来るのか疑問に思っていたら幸広がそれを察して教えてくれた。

 都会には深夜業務をしている人や警備の人や工事をしてる人などいろいろな人が居るそうだ。

 あっちじゃ見張り以外いなかったからな、都会にはいろいろな仕事があるんだなと納得した所でコンビニに到着し一通り幸広が見繕ってくれたので日用品の買い物はスグに終わった、さらば俺の財布のお札様……

 買い物も済んだので幸広は実家へと帰るそうなので俺も寮への帰路についた。

 

「おかえりなさい、ご飯はどうしますか?」


 エレベーターから降りると急に声を賭けられたので少しびっくりしたが食事の事を聞かれたのでしっかり食いたい事を伝えると部屋か食堂が選べたので今日は少ない荷物を整理しないといけないので部屋で食べる事にした。


「今日は部屋で!あとこれドートルのお土産です、今後お世話になるんで」

「え?あ、ありがとうございます?」

「じゃあ部屋にいますんで!」


 部屋に着きトイレに洗面台もあるので歯ブラシなどの日用品を洗面台に置き、クローゼットに数少ないパンツやシャツをしまうと買って来た物が無くなった。

 全然、荷物がないな、早い所あたらしいゲームでも買ってゲームやりたいなぁと考えていると部屋ノックされていたので扉を開けると夕飯を持ってきた寮母さんが居た。


「今日の夕飯はかに玉チャーハンと野菜のスープ、りんごのカットです」

「あざっす!姐さん!」


 寮母ですと言いながら俺の部屋へ入って来て机に配膳してくれたので俺も席へ着き食事を食べる事にした。


「いただきます!」

「食べ終わりましたら廊下に食器を置いてください、後ほど回収に参りますので」

「わかりました!」


 まずは空腹の胃をならすために野菜スープを一口、色々な野菜の甘味があり、それを胡椒のピリッとした辛さで引き締められ一口飲むともう一口飲みたくなる絶品スープだ全部飲み干したい欲を抑え、かに玉チャーハンを一口。

 卵とあんかけが絶妙にとろけ、またチャーハンが口の中でホロホロと崩れていき卵とあんかけに混ざって行き口の中が幸せなるとはこの事かと理解させられた。


「う、美味すぎる……」


 気づいたら寮母の姐さんは部屋から出ていたようで部屋には俺しかいなかった、飯を食って思わず声が出てしまった事は初めてだったので感想を言おうとしたがその思いのはけ口が無くなったので一心不乱で夕食を食べた。


「ふう……美味すぎだな、こんなもん食ってたら駄目になっちまいそうだぜ」


 食べ終わったので食器を廊下に置き、明日のための情報収集するために冒険者手帳で明日、何処へと行こうかと検索していると睡魔が襲ってきたので制服を脱ぎハンガーに掛け今日は寝る事にした。


 明日から本格的にダンジョン攻略して金策だな、新しいゲームは何があるのかとかチェックもしたいし、漫画も興味があるしな……いろいろ…見てみるのも……たのしい…だろう…なぁ……

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る