第7話 帰り道
「いやーF級踏破で1万かぁ、儲け儲け~」
「E級までは似たような金額だけどDまで行けば結構実入りがいいはずだよ」
「マジかぁ、どんどんダンジョン踏破していくしかないな」
「そうだねぇ……まだ17時かぁ、どうする?どっかカフェでも寄って一息つく?」
「かふぇだぁ~?行った事もねぇが!何事も経験だそのかふぇって奴に洒落こもうぜ」
「そんな気合入れて行く所でもないけどね」
幸広に連れられて俺達は学校へと戻ってきた、幸広が言うには地下のショッピングモールにその『かふぇ』があるらしく地下へと移動した。
「ほぉーこんなんになってんだなぁ……お?あそこはゲームショップじゃねぇか?」
「はいはい、今度一緒に行こうね、今はこっち」
「えーちょっとぐらいいいじゃーん」
「ちょっとで済みそうに無いから今度ね」
幸広に引き連れられて『喫茶ドートル』へと入店しレジに並ぶと前に女生徒が2人並んでいたがそこに俺はならび、幸広は隣のレジへとならんだ。
正直何を注文すればいいのか分からないので前の列の女生徒を真似ようと聞き耳をたてると。
「抹茶とイチゴクリームのフラペチーノミルクマシのアイスマシのチョコマシでお願いします」
「んん!?何て言ったんだ……」
聞き耳を立てていたはずなのに俺には理解が出来なかった、何か凄い詠唱なのかと思うくらいの呪文のようだ……幸広の方を向くと何食わぬ顔で注文をしていた、俺も負けてられないな。
「ご注文をどうぞ」
「マチャイチゴのペペンペチーノマシマシアイスマシでお願いします」
「……はい?」
「ブフッ」
振り向くと幸広が笑いを堪えてプルプルしている、その横の女生徒も笑うのを我慢しているようだ。
「す、すいません、カフェオレ砂糖入りでお願いします」
「ん?俺はちゃんと注文したじゃないか」
「何言ってるか全然分からなかったよ……ぷふ」
「そうかぁ……」
「ほら、受け取って行こ…クフ」
店員さんからカフェオレを受け取り幸広に連れられ2人席へと着席し幸広はコーヒーを一口飲んでようやく落ち着いたようだった。
「そんなに笑う事はねーじゃんか」
「ごめんごめん、でも久々に笑わせてもらったよ」
「まったく……うぁ、にがあまぁぁ」
「あははははは、もう笑わせないでよ、何その顔、あははは」
「お前、笑いすぎだろう」
「笑い声が大きいと注意しに来たのだけどあなたが笑うのなんて珍しいわね幸広くん?」
幸広の笑い声が思いのほか大きかったのか近くの席に座っていた女生徒が注意しに来てしまったようだ。
それにしても幸広は俺の前では結構わらっている気がするのだが、他の人の前ではあまり笑わないのだろうか。
「あはは、ごめんね楓ちゃん」
「まったくお店なんだから少しは気を付けなさい?」
楓……?幸広は確か楓と言ったな、俺は幸広と話している女生徒を見る、黒髪のロングで身長は157くらいで装飾品も無くすっきりした目で化粧もせずに清楚な感じの女性だ。
「幸広、俺の知っている楓ではなさそうだが、どちらさんだ?」
「くふ…思っている楓ちゃんで間違いないよ」
「何?!俺の知っている楓はこんな清楚な感じじゃない!双子かなんかじゃないのか!?」
「ちょっと!さっきから何かしつ…れいじゃ……総司君?」
「違うぞ!俺の知っている楓は悪童三人衆のボスだった楓だ!こんな清楚な女性じゃない!!」
「くふ……くふふ」
「総司君……少し黙りなさい?」
「うす」
思い出す、保育園時代の思い出だ。
俺と幸広そして楓との昔の思い出、小さい頃の楓は今のような感じでは無く気に入らない事があれば全て拳で解決するような女の子だった。
だが弱い者イジメをするような女の子では無く正義感は人一倍あった、イジメっ子が居れば俺と幸広を引き連れイジメっ子を鉄拳制裁し、いじめられっ子やおっとりした子とかには大人気でいじめっ子達には恐怖の象徴であった。
ただ喧嘩早い事と俺達といたずらして遊んでいる事もあったので悪童三人衆と近所の人に呼ばれていた。
小さい時なので悪童の意味は知らなかったが響きがカッコいいからと言うだけで俺達は結構、気に入っていた。
「それにしても総司くん、久しぶりねぇこっちにはいつ引っ越してきたの?」
「この学園に通うためにな、今は寮暮らしだ」
「あら、おじさんとおばさんに挨拶したかったのだけど寮って事は来てないのね」
「まあなぁ」
「くふふ……」
「ちょっと!幸広くんはいつまで笑っているのかしら?」
「ご、ごめんね…くふ」
「楓!私、調べものがあるからもう帰るね」
さっきレジで俺の事を笑っていた女生徒が楓に話かけ、楓がその子と少し話すと笑っていた女生徒はじゃあね楓と幸広くん、それとペペンペチーノさんと言い帰って行き楓は俺達の方へとやってきた。
久々に出会ったのだから少し話そうと言う事になり4人掛けの机の移動する事になった。
「ところでペペンペチーノって何?」
「俺も分からん」
「くふふ……あははは」
幸広はツボに入ったようでしばらくの間、笑っていた。
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