第6話

「ああ、そうだダンジョンの成果の分配はどうする?狩った人の物にする?それとも成果の半分づつにする?」

「ああ?あーまあ換金したら半分にすればいいんじゃねぇか?」

「まぁ僕もそれで問題ないよ、今後PT組んだら最初に決めておいた方がいいからね?」

「ふーん、そんなもんなのか?」

「そんなもんだよ、揉める原因はなるべく排除した方がいいからね」

「そっかー分かった」

「さてっとダンジョンで大きな声で喋ってれば魔物もそりゃあ近づいて来るか……じゃあまずは僕が先に戦闘してもいいかな?」

「おおーゴブリン2体か、別に良いけど平気なんか?」

「まぁ見ててよ」


 そう言って幸広はゆっくりと歩きながらゴブリンに近づき右手をふるった瞬間ゴブリンの頭に何かが貫通してゴブリンは煙となって消滅した。


「ほへー針投げたのかー毎回、回収するのめんどくないか?」

「んー?大丈夫、針には糸も仕込んでるから……っとほらね?」

「器用なもんだなー」


 幸広の針は縫い針のようになっていて後ろに糸が巻いてありそれを器用に扱って戦うのが幸広の戦闘スタイルのようだ。

 

「この武器って結構むずかしいんだけどこんな事もできるんだよっと」


 そう言った幸広は針をゴブリンの首に狙ってなげ、ゴブリンには刺さずに通過したと思った瞬間針の動きが急に反転しゴブリンの首回りにグルグルと巻き付いていき最後はゴブリンと頭と体が切り離された。


「秘儀・首狩り……なんちゃって」

「へぇー器用なもんだなぁ水魔法で糸を操ってんのかー」

「そうそう、糸の面積分しか水を使わないから使用魔力も少なくてね、結構便利なんだよ、それにしても初見で分かるなんて凄いね!」

「自己紹介で言ったろ?特技は魔力操作だって、だから魔力の動きとかには敏感に分かるってだけだがな、んじゃあ次は俺の番だな!」


 幸広の戦闘音を聞きつけたのか追加でゴブリンが一体表れた、距離も結構あるので、どうやって倒すか考えたが遠くに居るのなら遠距離技を出せばいい。


 俺は魔力を木刀に流し、魔力を流した木刀を振ると同時に魔力に斬撃性をイメージして魔力を放出した。


「特技・魔剣迅まけんじん


 放出した青い塊のように見える魔力がゴブリンの首に吸い込まれるように当たりゴブリンの体から頭がポトリと落ちゴブリンは煙に包まれ消え去った。


「……聞いてはいたけど……すご……」

「ん?何か言ったか?てか気づいたか?」

「え?……もしかしてゲームの技かなにか?」

「そう!そうなんだよ!俺が持ってるゲームでテールズシリーズってのがあってな、それの主人公の技なんだけどさ、俺なりに模倣して再現したんだぜ?かっこいいだろ?」

「ははは……そうだね……でもなんで木刀なのに切れるのか不思議だね」

「だろ?やっぱ男はカッコいい技にあこがれるもんなんだよ!……んで木刀で何故切れるからって?うーん簡単に言えばそうやってしただけだな」

「それは……すごいね」

「まぁこんなんは誰でも練習すればできるさ多分」


 幸広が何に驚いているかちょっと分からないが俺はゴブリンが消えた場所を見てみると小さな石が落ちていたので拾ってみる。


「なんだぁ?この小さな赤い石は?」

「ああ、それは魔石だねすごく小さいけど」

「あー?これが今の時代のエネルギーって奴の?」

「そうそう、そこまで小さいと100円になれば良い方かな」

「ふーん、小難しいのは良くわかんねぇけど、これをいっぱい集めて金に換えられるって事でいいんだよな?」

「そうだね、あとたまにその魔物由来のアイテムや素材がドロップするみたいだね、そっちのが高く買い取ってくれるみたい」

「へぇー魔物の宝くじみたいなもんか」

「はは、そうだね」

「よーし!どんどん進んでガンガン稼ぐぞー」


 そこから幸広と俺の二人だが安定して狩を続け地下へと向かう階段を見つけどんどん進んで行くと気づいたら最終フロアへと到着していた。


「俺と幸広だけでもF級ってのは楽勝だったな」

「まぁF級だしね」

「んじゃあサクッとボスゴブリン倒して帰ろうぜ」

「ホブゴブリンね……じゃあお先に」


 そう言うと幸広は走り出しホブゴブリンの方へと走って行き、両手を振り2本の針が飛び出しホブゴブリンの両腕を縛り上げたと思った同時にホブゴブリンの両肩からゴギィと嫌な音が鳴った。


「トドメよろしく」

「まかせとけって!魔剣迅・双」


幸広が作ってくれた隙を見て俺は魔剣迅を2発撃ちだし1発目はホブゴブリンの肩に当たり2発目は首元へと当たりホブゴブリンは煙に包まれ消滅した。


「ふぃーいい散歩になったな!」

「散歩って……まったく、あ!魔石とホブゴブリン牙がドロップしたみたいだね、これ一つで1万円にはなるはずだよ」

「なに!?まじか!ダンジョンって儲かるんだな」

「今日みたいに安全に上手くいけばね」

「おう!帰ろうぜ!」






今日の俺のリザルト


ゴブリンの小さな魔石×71

ホブゴブリンの魔石×1

ホブゴブリンの牙×1


小さな魔石 98円×71 計6958円

ホブゴブリンの魔石 3000円

ホブゴブリンの牙 10000円


計19958円


幸広はめんどくさいから俺に10000円を残りを幸広にと分配を受付に頼み今日のダンジョン攻略は終わった。

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