第27話

 花の色はまず目に入る。紫、青、赤、黄色。緑の敷物シキモノの上にぽつぽつと色が点在しているのを認識したら、カメラのズームのように近づいていき花の形を観察する。花弁カベンがわかれているか、つながっているか。雄蕊雌蕊オシベメシベは何本か、先端はどういった形をしているのか。


植物学では、植物の分類ブンルイが大事らしい。葉のつき方から、根の張り方、花の形などから、種類を分類していく。それはもう気が遠くなる作業なのは先日テレビでやっていたのを見てもわかる。万太郎の努力によって日本の植物学は世界に名をとどろかせたそうだ。名前違っていましたっけ?とにかく、自分で植物の分類をしろと言われてもできない。と思う。


昔から切り花等で、花を活ける日本人の気持ちがわかる気がする。花を見ると、何かジーとみてしまい、気が付くとずっとでていたいなんてガラにもないことを考えたりする。生け花が何を基準に良い悪いが決まるのかはわかりませんが、パッと見て迫力ハクリョクがあるなとか、なんか色彩シキサイがきれいとかは感じ取れる。


花の何がいいかというと、気が付くと咲いているところとか、けなげでいい。緑のなかで、ぽつぽつと色を添えているというか、そうなると気になって、じっくり見てしまう。紫とか、青とか赤とか。緑の全体量に比べ、花の量が少ないと思えるのもいい。なんかどうしても注意が向いてしまう。


そして花が咲くと、果実がなる。フルーツはおいしい。果肉のジューシーさが奇跡的キセキテキ魔的マテキだ。蛇足ダソクだが。甘みがあるのは糖分があるからか?光合成では確か、二酸化炭素から酸素を取り出し、水を排出するんだっけ、その時余った炭素でトウを作るのか。だいぶ昔に勉強したことなので忘れてしまった。その糖で甘くなるのはわかるが、酸っぱくなるのはなんでだっけ。クエン酸?まあ、とにかくおいしい。


季節がわかるところもいい。梅は初春ショシュン。桜は春。ヒマワリは夏。ススキは晩秋バンシュウ。この国は四季シキがはっきりしていて、その季節に合わせて風景も変わっていく。その風景にあった花が存在する。その時々で、楽しませてくれる。


種を作るために花は、虫という媒介者バイカイシャを呼び寄せる。そのため、ニオいやミツを生成したりする。相手に対していい顔をしようとしているわけだ。そう考えてみると、大抵花は、見ているこちら側に顔を向けている気がする。花を見ている存在に対して、意識しているのだろうか。

けなげだ。

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