第18話

確定申告をやりだしたのは、個人で働きだしてからかそれより少し前からだったように思う。

就職もしたが、主にアルバイト、派遣社員の仕事が多かったので、遅かれ早かれ確定申告の道は逃れられなかったに違いない。アルバイト等では源泉徴収ゲンセンチョウシュウで多めに税金がとられることがある。それを確定申告すれば還付金カンプキンがかえってくるのだ。


何が原因で、申告しようと思ったかと申しますと、たしか、贈与税を支払わなければいけない状況におちいってしまって、その滞納がかなりあり、じゃあちょっと行ってみようかなと軽く考えていってみるととんでもないことになっていた。滞納金ですか、結構な額とられてしまいました。その時これはまずいなと、これ申告しないとマジでまずいなと、そのように改心いたしました。


その後は、いろいろ調べて、税金の納め忘れがないか、まるで病気のように探しまくり、まず市民税の為の申告から始まり、2、3年後にはこれは所得税の申告をすればいいのではないかという結論に達した。所得税の申告をすれば、国の管轄カンカツになるので、特に市民税や県民税の為の申告をしなくて済む。そんな認識。


申告の会場は広く、学校の体育館のようなところで、係りの人の指示に従いデータを打ち込んでいく。

何も問題なければ、数字を打ち込んでいけば結構あっという間に終わってしまう感じだった。

結構な人数いて、待ち時間が相当かかる。


その後は、ちゃんと確定申告を毎年行っており、特に多めに税金を支払うこともなかった。

個人で商売をやるようになってからは青色申告アオイロシンコクをするようにした。ふつうの確定申告と違うのは簿記ボキを行わなければいけないところだ。現金や商品、売上仕入れの支出と収入の記録を帳簿につけなくてはいけないのだ。なかなかそれは難しくややこしい。正確に細かく丁寧にやらなければならない。自分の苦手なところだ。終始おおざっぱなのだ。


そして、申告を無事終了すると、また、人生をやり直すくらいの気持ちで、その建物を後にすることになる。しばらくは何も考えたくない。そんな感じだ。車への帰り道は思ったより長く、風が冷たい。


しかし、車に乗って帰るときにはだんだんと今回のあの点はああなっていて、次回はこうやってなんて考えていたりもする。貧乏性ビンボウショウなのである。


次こそは、必ず成功させて見せると息まいたりする。確かにモチベーションが上がる。そして、とてもすっきりする。ストレス解消になるのだ。


そしてこれで、事業の年度が本当の意味で終了するのだ。

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