第14話

 実は最初、医学部へ行こうかと思っていた時期がある。しかし、物理が苦手だったのであきらめた。なぜ医学部かというと、まず、数学が得意だったからだ。そして、その延長線上に理系に行くことを頭に置き、勉強していく中で、生命の神秘というか『遺伝子』という存在にぶち当たってしまったからだ。


『遺伝子』、とても魅力的な言葉だ。その言葉に魅了され、それを勉強するとしたら、分野として医学部が適当だろうと、また、学問の分野では一番上の水準だと聞いていたので、当時、世間を知らなかった自分は漠然とそれに入りたいなと思っていた。


結果からご報告するとだめだった。そのころは、成績が坂道を転がるように下がっていっていたので、自分でもぜんぜんダメなのが分かった。なので、次を探した。結局、『遺伝子』を勉強できる農学部へ進学した。しかしそれは本末転倒ホンマツテントウなことになった。結果として、『遺伝子』とは全然関係ない分野へ進んでいくことになる。


まあ、言い訳ではないが、『遺伝子』の分野はほんとに才能のある人たちによって研究されるべき学問であることは間違いない。すべてにおいて完璧な人間が追及して初めて向こうが挨拶アイサツをしてくれそうな学問だ。

自分なんかが足元でも見るのもおこがましい。完全にひがみではあるのだが。


ただ、そのスピリットはヲタクという分野に多少なりとも生かされているに違いない。そうでもないか。とにかく、漫画は読み漁った。あまり分野は問わない方だと思う。その結果、多少なり知識は身についた。実生活でも漫画からの知識は意外に使えたように思う。


次に、よりヲタクを追求した場合、文章を読むべきなのではという結論に至り、読書を多くするようになった。まあ実際は母親が買ってきた文庫本を読んで、ラノベにはまったのだが。


どうしても、まじめにやっていると反動がくる。自分はそういうタイプだ。勉強を頑張ったら、アニメヲタクになってしまっていた。いろんなアニメを手当たり次第に見たように記憶している。


このままヲタク人生を送るのも悪くないなと思っていると、だんだんまじめくんの顔が出てきたりする。仕事をしたり、勉強をしたり。その結果、今回は私小説を書くという方向性を示してしまったのだが、当然の帰結キケツだったのかもしれない。


出来れば、自分の人生を無駄にはしたくない。なんて贅沢ゼイタクなことを考えて、一生懸命、無い知恵を絞って、今日もせっせと小説っぽいものを書いている。





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