Episode 05 人生初の投稿。


 ――僕は、梨花りかのように書けない。



 そう思ったのは冒頭から。すでに書き始めからだったの。


 梨花の作品は読んできた。完結になるその日まで。当時は一月三十一日で完結。つまりはコンテスト応募の〆切日。全百五十回だった。その翌日のことだった……


 急に浮かんだタイトル。


 そして二月二日に開始すると決めていたから。


 一人静かなお部屋。カタカタと、キーボードと合唱する、隙間風によってノックを繰り返すドア。PCは黄色のボデーで新品の艶々で、ファンの音も静か。CPUの処理音も然りで、まだまだ使用している容量は少ないから。ワードから書式の設定。梨花が教えてくれた。縦が四十字の行が三十字。それが一回分の目安と聞いているから、合わせる。


 インターネットなどの設定は、可奈かながしてくれたと言うから……そうだね、何もかもが同じな筈。アカウントとかは勿論違うけど、それ以外の条件は……


 でも、違うの。


 あくまで『りかのじかん』の続編にはならない。どうしてもオリジナルだ。……と、いうことなの。僕のオリジナルにならざるを得ない。その脳内を駆け巡るキーワードから文章に変換し、思いを乗せて描いてゆく。それが第一章の第一回を飾った。そこから、目を通すの、黙読してみる自分なりに。その時には気付かないおかしな文面。でも、これこそが、僕の人生初の投稿だった。何もかもが初めてのこと。素人中の素人は百も承知。


 そんな中で芽生えてくる……


 書いた時の、何とも言えない感覚。それがいつまでも残ってゆく……


 興奮にも似た感じの、中毒性というのかな? 二回三回と続いて行く、まるでエスカレーターのように高みを求めてゆくから。小説サイトの投稿。僕は人生で初めて行ったのだ。……でも、PVは0が暫く続いたの。お星様は次の段階。それから一週間は見直しに見直した。タイトルも『ウメチカ物語』から『新章たるウメチカ!』に、この時なった。



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