Episode 03 書きたいもの。


 ――きっと、梨花みたいに皆が元気になれるエッセイ。それが書きたいもの。



 その出会いは、ニ、三日の入院中。スマホから読めると、梨花りかが教えてくれた。


 その出会いは、とある小説サイトの『書くと読む』


 ペンネームは、りか。作品名は……りかのじかん。


 僕とソックリな容姿。身長も声の感じも。でも違うの。彼女はポジティブ。とても明るいの。それに自然体で、作品に現れている。運命的な出会いとも感じられる程に。


 読むと益々ファンになる。憧れの存在だ。その頃だったかな? 僕も書きたいと、心が囁いたのは。ネガティブからポジティブになる変わり目だったから。喩えるなら、夜明け前の一番お空が暗い時。入院した原因が、お風呂で手首を切ったことだから……


 何故そうなったのか、よく覚えてない。


 フラッシュバックしたの、いじめられていた場面が脳内で暴れて。ネガティブな思想に染められ、モノトーンの色彩。自分のことなのに、コントロールできなくて……


 だからなのかな? 書きたくなったの。


 でも、楽しくなれそうだから、書き始めたの。ある意味、自分探しの旅だ。



 ……そうだね、自分探しの旅。


 病院の中、眩しい夕陽が染みて、涙を零した時に芽生えたのかもしれない。


 退院したら、梨花と可奈かなの待つ学園。そこから始まった、僕の新章。カラフルになった物語。タイトルは『ウメチカ物語』が一番最初だったけど、実は何回か変わっている。


 変わらなかったのは、ウメチカという四文字。


 ターニングポイントという意味だから、僕にとって。ティムさんとの出会いと、ティムさんがパパになったこと。つまりは梅田の地下で出会って、梅田という名字になったことで、梅田うめだ千佳ちかと名乗ることになったから。ペンネームもウメチカで登録した。


 その過程を経て、ウメチカ物語は『新章たるウメチカ!』と変わったのだ。



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