Pauli

Pauli


 触れただけ、近寄っただけ、彼女にとってはそれだけのことなのだろうが、機械にとってそれがどれだけ嫌なことなのかというのはとても知りようのないことだ。


|元ネタ

 一つのジョークとして用いられてきたパウリ効果より。物理学者パウリはよく機械を壊し、触れただけ、近寄っただけ、研究室の最寄りの駅に停まった電車にいただけで機械に故障を呼んだとされる。


|不幸体質

 簡潔に言えば、彼女はよく機械を壊す。時計を身につければたちまちそれは時刻合わせを始めるし、パソコンを買ったらキーボードが使えない状態だったとか。故に、最低限スマホしか精密機器を持ち歩かないようにしている。


|気苦労

 ATMが使えない。カード決済を含めたキャッシュレスが利用できない。携帯がたまに使えない。時計屋や家電屋などに安易に近寄れない。レジを故障させてしまう。自動ドアに認識されない。エレベーターが使えない。車が使えない。「何もしてないのに壊れた」を信じてくれない。


|人生の考え方

 彼女ほど不幸な人もそういない。それ故彼女は人生をまた他の人と別の視点で見ている。幸せとは報酬なのか。不幸せは罰則なのか。そしてその幸不幸で人は形成されるのか。彼女はそれをよく考えている。


|Pauli

 彼女は深く物事を考えているようには見えないような人で、いつもへらへらと生きている。彼女は幸福の理解に疎い。不幸の理解も疎い。故に、幸福を不幸と思っているのかも知れないし、それを人生だと踏み切っている節もある。

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うちの子紹介 腕時計 @chalcogens

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