回想:18歳、義弟と弟と
幸いにも、天は大仁に
「こんな遅くまで何してるんだ、大仁
しかし、そんな大仁の努力をよく思わない者もいた。大仁の五歳下の
「勉強だよ。年が明けたらセンター試験があるし……」
「なんで、今、わざわざ電気をつけて、勉強してるんだって聞いてんだよオレは。昼間は一体何してたんだ?なぁ?」
駿靖は大仁を嫌っていた。駿靖の父母が優秀な大仁に目をかけていたのもあるが、一番の理由は大仁に勉学以外の才能が無いからだ。
「ていうか、本来夜は『お
駿靖の八つ当たりじみた
「オイ聞いてんのか!」
駿靖が大仁の脇腹に蹴りを入れる。
「ロクにモノノケも
大仁が
「死ね死ね死ね〜っ!テメーなんか、生きてたってどーせ何の役にも立たないんだからさぁ!せめて山に行って死んで食費浮かすくらいはしてくれよ!なぁ⁉︎」
「駿靖!何してるの⁉︎」
入ってきたのは駿靖の姉、
「ちっ!」
駿靖は
「にーちゃん、だいじょーぶ?いたいのとんでけする?」
真里靖の後ろから奏助が顔を見せる。
「奏助……。大丈夫、にいちゃん平気だよ」
不安げな奏助を元気付けるように、大仁は満面の笑みを作ってみせた。
「まだお勉強するの?」
「ううん、今日はもうおしまいにするよ。一緒に寝よう」
「うん!」
大仁が寝る準備をしようと立ち上がると、真里靖が彼の肩に手を置いた。
「大仁さん。その……」
言い淀む真里靖の背中を、大仁の手がそっと
「大丈夫だよ、真里靖。駿靖君は難しい時期だし、あの子とケンカできるのは俺くらいだから」
「
「ケンカだよ。あれはケンカなんだ」
大仁は
「……あんまり、一人で背負わないでね。おやすみなさい」
真里靖はそれだけ言い残して部屋を出た。
シングルサイズの布団で、大仁と奏助は身を寄せ合って眠りにつく。
「大丈夫。にいちゃんは、お前のためならなんだってできるんだからな……」
すやすやと眠る奏助の背中を撫でながら、大仁は柔らかな声色で
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