(設定4):服装、そして大事なビキニアーマー
「ねえアヤナさぁー」
ディアが神妙な面持ちで聞いてくる。……彼女の場合、それが本当に神妙なことは多くはないのだけれど。
「何よディア?」
「大変なことに気づいちゃったのよ。ほら私って、女子校生じゃん?」
「うん……まあ。ディアがそう言うのなら……」
「大問題なんだよー。制服、セーラー服かブレザーにするかって言う設定を決めてなかった!」
「(あっ、『設定』 って言っちゃった……)」
そこでモニカが拳を握って軽く叫ぶ。
「ディアさん、それ重要なことだと思いますよ!?」
「だよね、だよね!?」
「どうせ設定ですから、今ここで決めちゃいましょう!」
「(あっ、また『設定』 って……)」
ディアが何度か肯く。
「セーラー服とブレザーって、どっちが良いの?」
モニカが首を傾げる。
「良い、って何ですか……」
「そりゃ。どっちが男ウケするかって話よ」
「なるほど!」
例によってキャッキャしてるディア&モニカだ。彼女らの興奮のポイントは未だによくわからない。
アヤナは言う。
「ディア。なんで男ウケにこだわるのよ」
「ん? 制服って、エロいことするためじゃないの?」
「あっ、謝りなさい! 制服に謝りなさいって!」
「まあエロはともかく……18禁の色々なモノに出演する時に役立つかと」
「やっぱエロじゃないの!」
ディアは真面目な顔で言う。
「レーンがさ。思春期の時の身近な異性に影響するって言ってたじゃない? ほらブルマとかスク水とかは性的な目で見られるけど、って」
「あー。レーンって色々知ってる(?)わよね。『雷電』ばりに」
「それでそれで。だとするとさ。多分、今の男子ってあまりブルマとかに興奮しないんじゃないかな。データないけども」
モニカがグッと拳を点に突き出す。
「じゃあFAN◯Aの中の人に聞いてみましょう!」
アヤナはぶんぶん手を左右に振る。……今さら思ったが、モニカがボケるとツッコミ役はアヤナ一人になってしまう。最終防衛ラインである。
「モニカ! ヤバい発言はやめてよ!」
ディアがポニーテールをぴょこんとさせた。
「そう言えばさー。ソレ系のサイトでさー。やたら熟女系が多いのは何でなん? 女子校生の私としては営業的に厳しいんだけど」
アヤナは少し俯いた。
「何でと言われても……そもそもディアって女子校生じゃないっぽいし」
「日本ってロリ大国じゃないの!? なんで正反対の熟女系が売れるのさ?」
それにはモニカが何だか頷いている。……コイツ(13歳)が色々と知っているのは不思議だ。いやディアもアヤナも、もう慣れているけれど。
「えっと。これはレーンさんの仮説ですが」
「(え!? またレーンなの!?)」
「(レーンも不思議な人だよねぇ……)」
モニカはメガネをクイッとする仕草を見せた。いやメガネは着けていないのだけれども。気分だけ。
「購買層と購買力ではなかろうか、とのことでした。まず人間って、やっぱり同じくらいの年齢の人は悪くないらしく。すると40歳くらいの中年男性は40歳くらいの女性がストライクなのかもしれません。……少なくとも20歳男性よりかはピンズドでしょう」
「中年男性は中年女性『だけ』に興味があるってこと?」
「いえ、そうとも言えず。男性はやはり若い子もいいらしく。一般的には40歳男性であっても20歳女性の子をかなり好きになるようですが。そして20歳男性も20歳女性を好きになって」
「んー。だったらさ。なおさら熟女系が売れる要素がないんじゃない? どんな男性でも、多くが20歳の女子校生モノを買うわけでしょ?」
モニカは軽く肯く。
「そこで『購買力』だそうで。仮に新作が10本出たら、購買力の高い40歳男性とかは熟女系を4本、女子校生モノを1本くらい買うのではないか、と。逆にバイト生活とかで購買力が低い20歳男性とかは、財布事情で買えない。どう足掻いても女子校生モノ1本でしょう。なので売上的には差が出るのではなかろうか、と」
なんだか(本当かどうかはともかく)理論騒然としているレーン仮説である。ディアとアヤナはぼんやり思った。
「(なんでレーンってそんなの思いつくんだろう……)」
「(ってか、もう本編も主人公レーンでいい気がしてきたわ)」
モニカは軽くふにゃふにゃする。
「で。えっと。これもレーンさんの言葉ですが」
「「((またレーンなの!?))」」
「世界でコロナが流行って、マスク着用が推奨・ほぼ義務化されてた頃。思春期男子は女の子のマスク姿に欲情し、今では行為の際にマスクしたままのソレ系の映像も多いとか」
「え!? それって日本、大丈夫!?」
「(息苦しそう……)」
モニカは鋭い感じで言った。
「まあ……第一次大戦の後、欧州では ガ ス マ ス ク の フ ェ チ が現れたそうですし」
「!?」
「!?」
モニカは天を見上げ、涙を流している。
「厳しい環境の塹壕の中で。銃撃と、爆弾と、毒ガスの恐怖は容易に想像できます。そんな中でガスマスクは、若い兵士たちの心を確実に掴んだはずです……!」
ディアとアヤナは漠然と思っていた
「((なんかこの子ヤバイかも))」
#いまさらではある。
ディアが赤茶けたポニーテールをしゃんとさせた。
「ま、それはともかく。制服よ制服。セーラー服とブレザーどっちがいいかな?」
アヤナは思案する。
「聞いた話だけど。昔はセーラー服が多かったけど、今はブレザーが伸びていて。確かブレザーを採用している学校がちょっと多かったはずだわ」
「ふーん。でも昔……の男の子の購買層からして。レーン仮説を取るなら、セーラー服モノのほうがウケそうな気はするわね」
モニカはうんうんと肯いている。
「セーラー服熟女は多いですが、ブレザー熟女は少ないですからね。やはり購買層の問題だと思います」
「モニカ……あなた凄いわね」
「えへへ。やだもー」
アヤナは『守備範囲が凄い』と思っただけだが、野暮なので黙っていた。
ディアは少し悪戯っぽく笑う。
「でもさ。ひょっとしてさ。男ってチョロいんじゃない? 私達が思ってるよりも」
アヤナは少し顔を赤らめた。
「まあその……性的なことは確かに殿方のほうが強いかな、とは……」
「いいって、いいってアヤナ! 男はチョロいのよ! きっとセーラー服だらけの女子校とかに転校したら、ぐわーってなるわよ。ぐわーって」
モニカは首を傾げる。
「セーラー服でなくとも、女子校に転校って時点でエロゲの主人公っぽくて、ぐわーってなりそうですが」
ディアはやや興奮気味だ。
「じゃあ譲ろう。そこは百歩譲ろう。女子校ってことはナシ。ただセーラー服よ。セーラー服だらけの環境に男を放り込んだらどうなるか!」
モニカが恐る恐る手を挙げる。
「あのー、ディアさん?」
「何?」
「セーラー服だらけの環境って、普通にありますよ?」
「え!? マジ!?」
「はい。マジです」
「やっぱり女子校かな!? そうだ、女子校の教師だ!」
「いえ、そんな特殊なとこじゃなく……軍隊です」
ディアはビクッとなった。
「軍隊!?」
「そりゃそうですよ。セーラー服の本場ですから」
「本場!?」
「ん? ディアさんどうしました?」
「そっか! セーラー服の女性士官だけの部隊があれば、兵士の志願率も士気も上がるってわけね!」
「何言ってるんですかディアさん。海軍ですよ、海軍」
「海軍がどうしたのさ」
「……あのー。セーラー服が海軍発祥ってこと、ご存知です?」
「ぇああ!?」
「……」
「し、知ってたよ!」
アヤナが声を出した。
「海軍で採用……と言うか開発されたセーラー服が、素敵だからと民間でも広まったはずだわ。当初は男女ともに着て愛されたみたい」
「男もセーラー服!?」
「いえ海軍発祥なので本来は男の服よ。ほら船に乗る海兵たちの服だからね。今でも海軍はセーラー服だし。単純に、素敵だからと女子に採用されただけで」
「……じゃあなんでその時、セーラー服は男子学生に採用されなかったのさ?」
「さあ……知らないけど。男子は詰め襟が好きだったんじゃない?」
モニカが人差し指を立てた。
「ディアさん。セーラー服の背中のヒラヒラ、あるじゃないですか」
「うん」
「アレは、こう、頭に被るようにして展開するんです」
「えー。そんなんしてバカにされない? 絶対イジメられるよ!」
「船の上では風で声が通らないので、音を聞きやすくするギミックなんです」
「ぅお! し、知ってた!」
「あと女の子のおっぱい付近の胸当て。アレは女性用だからと改良されたためで」
「そっか! 防御力を高めるためか!」
「いえ。胸当てがない状態なら、何かで海に落ちた時にあそこから水が排水されて、泳ぎやすくなるという機能的なものなんです」
「知ってた! 知ってたよ!?」
「制服の、上が短くて、下のミニスカートとが離れていて、おヘソが出るセパレートのタイプは、走る時に胸の空気抵抗を減らすためのもので」
「知ってた! それも知ってた!」
モニカはニッと(何故かおっさんっぽく)笑った。
「ブー。最後のはコスプレ用でしたー」
「ぅわああああ!」
平常運転である。
『(ウチの世界の)服装色々』
#どっかで(ここか、アヤナのほう)で色々書くかもなので、ざっくりと。
#布一枚の防御は割と重要で。カッター程度の武器は通用しにくくなります。台所で包丁を持った時、イモとか大根とかを切ろうとして。それにタオルでもかければ(イメージとして)、押しつぶすのは簡単であっても切れるか切れないかは、なんとなく。
ただ剣 (ロングソードやショートソード)は、カットよりも撲殺に近い攻撃なので、そこまでたいして変わりはありません。
それにしたって布一枚の防御は手っ取り早いし軽いし安いしで、皆それをやろうとします。
女の子もあまり生脚はないっぽいけども。例外はあるかも。
*
人類はもともと男もスカート(?)的なモノだった。
裾は太腿あたり(短パン程度)であり、活動的ではあった。
ズボンタイプは段々と開発されてきた。
基本、男はズボンで女はスカートが多い。
ディア:ズボン
タニア:ズボン
これは彼女らが白兵、あるいは偵察で藪などを突っ切ることが多いため。それらへの適応手段である。
アヤナ:場合による。アヤナだけはズボンもあるしスカートもある。彼女は色々な事情(肩書き)に対応せねばならないので。
『男の長いスカート(ロングスカート)的な』
袴、もしくはそんな感じのもの。
コレは動きにくくなる・裾などを掴まれるという欠点があるが、相手からは足捌きが見られないという利点がある。
重心移動も相手からはわからないので、白兵やら格闘戦(打撃・投げ)では有利に働く(……かも)。
『防虫』
人類の天敵は『蚊』である。
蚊は病原菌を運び、大型生物に死をもたらす。
ズボン越しなら大丈夫……な気もするが。気のせいだ。蚊も必死なので。
ヤツらの針は貫通してくる。
蚊に刺されない繊維のズボンもあるが、お値段がお高い模様。
レオン王国、その中でもラクスでは『防虫 (虫除け) 』の弱い魔法が(上着でも何でも)練り込まれている。その防御は完全ではないにせよ、まあまあ効果がある。
魔法が発達していない他国で調達したズボンや上着はそういったものがないor少ない。そんな時はウェインあたりが夜中に頑張ってそういう魔法を付与するはず(彼は得意ではないけれども)。
他の対策としては
・ゆったりした服装にする。運動には向かないけれども。
・蚊のセンサー(二酸化炭素とか熱とか)に引っかからないようにする。割と大掛かりなので実際に使われることはないっぽい。
・タバコや蚊取り線香を水で溶いて、服に染み込ませる(匂いで何か、あるいは誰かに発見される確率は高くなる)。
・『防疫フィールド』を移動時・休憩時に使う。ある程度~ほぼ鉄壁、な感じで防御できる。
#但し軍人の場合、多くは直接戦闘の人員を増やしたいがために、『防疫フィールド』は軽視されがち。当の魔法使いたちもあまり使わない(街の中ではあまり必要がないため)。
『ミニスカ&ニーハイ』
(活動的な?)ミニスカはともかく、スカート丈によっては足が多く露出する場合がある。その時はやはり、防虫のソックスあるいはストッキングを履く。
・ここらへん、何かネタにできそうな感じがしたので、これ以上はやめときます。
『上着の袖』
やはり蚊や虫の対策、そして保護のため、長袖は多い
一方で袖があると格闘戦の組技で袖を掴まれる。なので予め格闘戦オンリーだとわかっていればノースリーブはアリアリである。AEUGみたいだし。
『ビキニアーマー』
実は柔道などの組み技の多く(投げ、絞めなど)は、袖や襟を『掴む』ことから攻撃が始まる。
ウェインも柔道の絞め技ができない時は『裸絞』(チョーク)を使っていた。
つまり、掴めない半裸や全裸は強いんじゃね? 軽いし!
……を具現化した最強のアーマーこそ、ビキニアーマーである。
いやわざわざアーマーを着けて機動性を落とすことはない。普通のビキニこそ最強だと思う。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます