第2話名も無い花

一輪の小さな花が

咲いています






ともすれば気付かずに

通り過ぎてしまうような






名前も知らぬ

本当に小さな花です






でも






僕はその花に

気付いてしまったんだ






道端に危なっかしく佇むその花は






無神経に走る

バイクの車輪に

踏み潰されはしないだろうか






今日は風が強いから

倒されたりはしないだろうか






このところの晴天続きで枯れてしまったりしないだろうか






気になって仕方ないのです






花は






自分で動いたりなど

出来ないのだから






心配してくれなどと

頼まれた覚えは無いけれど






しかし気付いてしまったのだから






どことなく寂しげに咲くその一輪の

小さな花の存在に






もしもあなたが






孤独感に苛まれ

憂鬱な日々を

過ごしていたとしても






きっと誰かが

気付いてくれる






きっと誰かが

応援してくれる






枯れそうだった

葉の隅々に潤いを与えるあの雨のように




暖かい日差しのように





通勤前の天気予報の

久しぶりの傘マークに






僕はにっこりと微笑んだ


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