ポエムの世界

夏目 漱一郎

第1話魔法の杖

どんなに羽ばたいたって人は空を飛べない






どんなに懸命に走ったって

人は車に追いつけない






溜まった仕事は

すぐには片付かないし






言う事をきかない

不調の体は


今だって

悲鳴を上げている






現実社会とは

意外に不便なもので






人は時折

“限界”という名の

煮え湯を飲まされる






とても不幸だと

君は嘆く






髪を掻きむしり

苛立ちながら

溜め息を洩らす






そんな君は

知っているのだろうか






“想像力”という名の

魔法の杖の存在を






自らの持つ無限の力を






静かに瞼を閉じ

すうっと息を吸えば






魔法の世界の扉が開く






街ゆく人々は

誰もが微笑いかけ






愛するひとは

いつでもそばにいて






願えば






空だって飛べるはず






そんな無敵の魔法の杖を人は誰だって持っている






“想像力”という名の

魔法の杖を






もしもあなたが

沈みゆく太陽さえ

もの悲しく見える時には






その杖を振ってごらん






あなたの頬をつたう涙が




















やがて宝石に変わるまで

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