第3話セピア

今頃君は






何処でどうしてる






初めて見た時から

既に恋におちていた






君の方から

声かけてきて






用事にかこつけた

ミエミエの誘い






自販機の横の

ベンチに座り






わたしにも煙草を頂戴と片目つぶって

人差し指を出して微笑った






偶然の満月が

奇跡に思えて






その時






世界は確かに

二人を中心にまわっていたんだ






その微笑みも


その声も


そのしぐさも


柔らかい指の感触も覚えているのに






背中まで伸びた

その髪の色だけが

思い出せない






遠く懐かしい

セピア色の思い出






今頃君は






何処でどうしてる






あの満月のように

変わらずにいるだろうか



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