第7話 王都ガレリアへ。
「オレは、モーリス・ロックのじいさんに育てられたんだ」
ギディオンさんに買って貰う分の三十個のハニーグレーズを作り終えたアランさん。
まだちょっと乾くまでに時間がかかるからって席に自分の分のお茶も持ってきて、そう話し出した。
「オレの両親は早くに死んじまって。危うく孤児院に入れられるところをモーリスのじいさんに拾われたのさ。親父がじいさんの弟子? だったらしくて、そんな縁で。ああ、あのじいさんその頃からもうじいさんだったから今はいったい幾つになってるんだろうな。随分と歳をとっているはずさ。帝都に留学させてくれたのもじいさんだ。オレはあの人には恩があった。だから、砂糖の話にも二つ返事で乗ったんだ。まさかそれがオレを騙すためだとは思わなかったけどな」
「うちでも契約書を調べさせて貰ったけれど、偽造でもなんでもない本物だった。君は内容も読まずにサインしたのかい?」
「ああ、隊長さん。あのくそじじい。信用してたのに騙しやがった。やっぱり実の孫の方がかわいいんだろうさ」
悔しそうに俯くアランさん。
それでも声を絞り出すようにして続ける。
「ジャンとは子供の頃から一緒に育った。昔はオレのこと兄貴のように慕ってくれたんだけどな。でも帝都に留学してからやつは変わっちまった。やたらオレの技術やレシピを気にするようになって。修行中にとらぶって飛び出した話はセレナちゃんにはしたよな。あれもジャンがらみだ。ジャンともめてやつを殴っちまった。オレのレシピを盗んでコンテストに出品したやつを許せなかったのが原因だけどな。そのあとは話した通り。オレは冒険者になって金を貯め、やっとの思いでこの店を開店させたんだ」
「アランさん……」
「あいつはあの時と変わっちゃいない。オレの技術、オレのレシピが欲しいだけだ。オレが丹精込めて作ったドーナツをあいつに託すだなんてまっぴらだ。大事にしてくれるとは思えない」
「ふむ。じゃぁ王都に行きますか?」
「え!? ギディオンさま!?」
「ここで考えていてももうどうにもなりませんしね。実際にそのジャン・ロックの店を見てきましょう。それでわかることもあるかもしれませんし」
はう。でも。
一瞬躊躇して。それでもやっぱり自分の目でちゃんと確かめたい。
「あたし、行きます。王都に行ってちゃんとどんな売られ方してるのか見てきます!!」
♢ ♢ ♢
王都ガレリア。
マグナカルロは小国だけど、この土地に人が住みだした歴史は古い。
北のガリアの地がまだ未開な土地だった頃にも、ここは帝国の属州として栄え、数多くの当時の建築物が今でも残っている。
そんな中でもガレリアは、昔から気品と芸術の街として繁栄してきた。
西のガウディが商業都市。東のガレリアが芸術都市。マグナカルロはこの二つの街を中心に古くから発展していったのだった。
王都にいくのは本当はちょっと怖い。
パトリック様に見つかったら、って、そう思うと足が震えてとまらなくなる。
思い切って家出をしてきたあたしだったけど、黙って書き置きだけしてむりやり出てきたのだって彼と話せば止められてしまうかもしれない、そう思ったのも事実。
あたしは彼に逆らうということができずにいた。
今でも面と向かって反論することができるのか、ちょっと怪しいのだ。
だけど。
うん、大丈夫。
今のあたしならきっとセリーヌだってバレないに違いないもの。
うん、きっと、大丈夫……。
「オレは行かない。わるいな、セレナちゃんが見極めてきてくれるか? あいつのやり方を、本心を」
アランさんはそう言ってお店に残る事になった。
お昼にはジャンの使いが次のドーナツを取りにくるのだろう。だからそれを作る事にする、って。
このまま店を取られるわけにはいかないから。もう少しだけ足掻くつもりだ、って。そう言って。
急に王都にいく事になっちゃったからギディオン様の分のハニーグレーズは部下の人が持って帰った。
っていうか、部下の人外で待たせておいたの? って、少しびっくりしたけど。
お店の外にでると、そこにはギディオン様の馬がとめてあった。
「これでいくからね、ちゃんとつかまっててね」
「ひゃぁ!」
ふわっと体が浮く。そのままギディオン様の前に収まるように馬に乗せられたあたし。
魔法? ギディオン様の?
ギディオン様、右手で手綱を握って左手はあたしの身体をギュッと支えて。
「じゃぁいくよ!」
そういうと勢いよく走り出した馬。
揺れるのが怖くって、あたしもギュッとギディオン様にしがみついた。
馬に乗るって初めてで、それも騎士様の前に乗せてもらうだなんて。
きっとお尻も痛くなっちゃうんだろう。
きっとあまりの揺れに気持ち悪くなっちゃうんだろう。
この姿勢で小一時間もあたし、もつのかな。
ギディオン様に迷惑かけちゃったらどうしよう。
そんなことばっかり考えていたけど、なんだかとっても快適な道中ですこし拍子抜け。
多分、ギディオン様の魔法。
あまり揺れないようにふんわりと浮いているようなそんな感覚。
これ、重力魔法?
黒魔法の一種ではあるけど、悪い意味じゃなくてとっても強力な魔法。
ギア・ブラドが操るそんな特殊な魔法だ。
最上位の重力魔法は確かブラックホールをも生み出しちゃう。って聞いた。
まあそこまでいくと人智を超える。もう神の領域ではあるよね。
あと。
触れてみてわかった彼の魔力。
膨大なその魔力量。
多分、マグナカルロの他のどんな貴族よりもその身に秘める魔力は膨大で。
多分、魔法でギディオン様に敵う人なんていないんじゃ無いか、そう思わせる。
最初は馬に乗るのも騎士様に身体を委ねるのもすごく怖かった。
だけど。
なんていうか、心地よいの。
ものすごく肌が合う。
馬上で寝てしまいそうになっちゃったくらい気持ちよくて。
パトリック様に触れるのは怖かった。どこか、拒否? されているような壁を感じて。
ピリピリとした肌触りっていったらいいのかな。反面、それでいてねっとり絡みつくような違和感もあった。好きじゃなかったら耐えられなかったかもしれない。
これって魔力の質みたいなものの差だろうか? パトリック様以外の人にこうして深く触れたことなんかなかったから気が付かなかった。
だったらパトリック様も同じように感じていたのだろうか?
だとしたら……。
愛されなくって当然だったのか……。
嫌われても仕方がなかったのか……。
ああ、ダメ。考えれば考えるほどどんどん落ち込んでいく。
「どうしたの? 大丈夫?」
「あ、ごめんなさい。ちょっと考え事をしてしまって……」
「あまり思い詰めないほうがいいよ。君の魔力が悲しみに染まっていくのがわかるから心配で。魔力はね、感情の影響を受けやすいんだ。そしてその感情に染まった魔力が精神にかえってくる。強い感情はどんどん増幅して取り返しのつかないことにもなりかねないからね」
「え……、ギディオンさま?」
「私は君の優しい魔力が好きだよ。君はそんなふうに思い詰めているよりも、明るく笑っているときのほうがかわいいからね」
はうあうあうあうあう。
心臓の鼓動が跳ね上がる。
彼のそのイケメンすぎるセリフにあてられたのか、あたしの顔は恥ずかしくてたまらなくて火照っていく。
もう恋なんてしないって、そう誓ったはずだったのに。
あたし、惚れっぽいのかな。
わかんない。
前世でも恋愛経験なんてそんなに無かった。っていうか恋愛小説はいっぱい読んだけど、現実にはぜんぜんダメで。
男性と触れ合った経験なんて無かったもの!
こんなにも近くにイケメンなお顔があること自体、人生初の体験かもしれなくって……。
ああダメ。意識が飛びそう。
あたしに魔力があるってことがバレたことも、今のドキドキで頭がいっぱいになっちゃってそれ以上考えられなかった。
そんなふうにクラクラしているうちに、どうやら王都に到着したらしい。
ギディオン様の操る馬は、そのまま王都中心部の貴族街へと向かって。
(あれ? ジャン・ロックのお店は流石にこっちには無いよね?)
そう思った時には貴族街最奥の豪奢なお屋敷のエントランスにまで乗り付けていた。
「ごめん。まずは着替えないとね。流石にその格好で一流店が立ち並ぶ場所に行くと場違いに思われてしまう。私も少しラフな格好に着替えるから」
そう言って優しくあたしを降ろしてくれるギディオン様……。
って、ここって、ここって……。
ああああああ。
ここってベルクマール侯爵家。
あたしのお母様の従兄弟、お母様が輿入れする際にご一緒にこのマグナカルロにいらっしゃった当時のベルクマール大公のご子息で、この国で侯爵位を賜ったジョアス・ベルクマール侯爵のお屋敷のはず。
幼い頃に来たことがある。間違いないよ!
だったら、ギディオン様って、まさか……。
ギディオン様が声をかけるとわらわらと現れた侍女さんたち。
「姉さんの服、彼女に何か貸してあげて。結婚する前のがまだ残ってるよね?」
「ええ、ちなみにどのような場所に行かれるのでしょう?」
「南の商業区だけど、その最奥の回廊のある場所だから。ちょっと品のあるそれでいてカジュアルな、そんな装いに仕上げて欲しい」
「了解いたしましたぼっちゃま。それではこちらへ」
侍女頭さん? 一番古株っぽいそんな彼女に先導され、あたしは数名の侍女さんに囲まれたまま屋敷の奥まで進んで行った。
っていうか頭が完全にパニックになっていて、放心状態になっているところを彼女らのいうがまま歩いてきたっていうのが正解。
「さあお嬢様こちらに。あら、お肌が少し荒れていますね。お着替え前に軽く入浴をしましょうか」
はわわ。
あーん、でも、もう、しょうがない。
あたしは腹を括り。
「ありがとうございます。それではよろしくお願いします」
と答え、後のことは全て彼女らのなすがまま、任せることにした。
っていうか……。
ギディオン様って、ギィくんだったの? アデライア姉様にはよく遊んでもらった覚えがある。まだお母様が生きていらっしゃった頃。あたしがまだ幼い頃だから、姉様の弟さんにギィくんって子がいたなぁくらいな記憶しかない。
一度だけ。
あれは薔薇が咲き誇る生垣で。
あたしがその薔薇の木の枝に髪が絡まって泣いている時。
優しく解くのを手伝ってくれた男の子がいたっけ。
涙が溢れて前もよく見えなくて、助けてくれた子のお顔もよく見えなかったけど。
明るい金色の巻毛のかわいらしい男の子。あたしよりちょっとだけ年上くらい。
そんな印象を覚えている。
あれが多分ギィくん。
お礼を言いたかったけど言いそびれて、それでまた泣いたっけ。
お母様の容態が悪くなって、このお屋敷にもくる機会がなくなって。
そうか。それでずっと忘れちゃってた。
彼にお礼を言わなくっちゃ。
と思ったところではっと気がついた。
(あたし、今セリーヌじゃないもの。お礼なんかおかしいよね……)
長年の心残りにやっとけりがつけられる。一瞬そう思ったけれどそれを叶えることはできないって思い返す。
「お湯加減、いかがですか?」
ちゃぷんと湯船に浸かりながら、侍女さん(マリサさんっていうらしい)のなすがまま、頭を洗われているあたし。
「ええ。マリサさん。ありがとうございます」
「お嬢様、洗われ慣れていらっしゃいますね。こちらもとても助かりますわ」
「そう?」
「普段からお世話をされ慣れていらっしゃるお方とそうでないお方というものは、私達にはすぐにわかるものなのですよ」
そうか。ちょっとしまったかな。
でもこうやって完全に身体を任せてしまうほうが自分も気持ちよくなれるからしょうがないなぁと、そんなことを思いつつ。
「おぐしは染めていらっしゃるのですね。根本の白銀の髪が見えておりますわよセリーヌ様?」
え?
「貴女様が姿を消したと、今王都の貴族街の侍従侍女の間では大騒ぎになっておりますの。アルシェード公爵邸には私の従兄弟が勤めておりますのよ。公爵様がもう鬼の形相で貴女様をお探しになっていらっしゃるのだとか」
「あたし、そんなんじゃ……」
「私は幼い頃の貴女様をこうしてお風呂にお入れしたこともあるんですよ。それくらいわかりますわ」
ああ。詰んだ。
どうしようどうしようどうしよう。
逃げ出さなきゃ。
でも、どうやって……。
「わたくしのこと内緒にしておいて貰うことはできませんか?」
しばらく黙り込んでいろいろ考えてみたけどどうしようもなくて。
むりやり逃げ出すなんてことも、こうして裸で頭を洗われている状況でできるわけもなく。
もう観念してそうお願いしてみることにしたあたし。
マリサさん、悪い人には見えないし、真摯にお願いしてみよう、そう思ったのだった。
「やはりセリーヌ様でお間違いないのですね……。アルシェード公爵様は、来月のベルクマール大公の来訪までには貴女様を必ず見つけ出せとおっしゃっていたようです。それにしても、今までどうなさっていたのですか? 私共ももう心配で心配で……」
あ。
そうか。
そういう予定もあった。
今の大公はやっぱりお母様の従兄弟。ジョアス様のお兄様にあたるお方。
あたしのお祖母様はベルクマール大公家の息女で、お祖父様、っていうか皇帝陛下と大恋愛のすえ結ばれお母様がお生まれになったのだと聞いている。
まあ元々ベルクマール大公家は帝室と深くつながりのある家系。幼い頃からの幼馴染であったともお母様から聞いたことがあったけれど。
そんな縁からかアルシェード公爵家にも、夫婦揃っての歓迎の宴席への出席打診が王宮から届いていたっけ。
色々あって忘れてたけど、パトリック様はこの期に及んでそんな体面を気にしていらっしゃるって、そういうことなの?
あの離婚届はどうなったんだろう。
っていうか、あたしは今まだ彼の妻のままなのだろうか。
公式にはアルシェード公爵夫人、そんな立場のまま、だということなのか……。
なんだか考えれば考えるほど落ち込んでいく。
あたし、やっぱりパトリック様から逃げきれなかった。そういうことなのか、って。
「不思議なことなんですが、リンデンバーグ公爵家の侍女たちは固く口を閉ざしているのです。貴女様の捜索にも手を貸すこともなく。これは噂なんですが、公爵様には貴女様が家出をしたことは未だ伏せられているのでは? という話で。時間の問題でしょうけど、公爵様が貴女様の失踪をお知りになっていたら、きっと国をあげての大捜索になっていたことでしょうから」
そっか……。
やっぱり少し考えが甘かったかもしれない……。
普段はあたしのことなんか興味もないような態度のお父様だって、自分の体面が傷つくようなことを許すわけはないよね……。
権力だけはある人だもの、あたしの自由なんてお父様の体面と比べたらどうでもいい話だものね……。
「わたくし、アルシェード公爵家にはもう帰りたくないんです……。パトリック様にももう会いたくなくって……」
涙がボロボロ溢れてきた。
仰向けになって頭を洗われている最中だということなんか、もう気にしていられる余裕もなかった。
あたしなんてどうせ彼らにとっての駒でしかないのかもしれない。
あたしなんて、あたしなんて……。
悔しい。
悔しくて悔しくて。涙が溢れて止まらない……。
「泣かないでくださいセリーヌ様。誤解があるかもしれませんが、この屋敷のものは皆貴女様のお味方ですよ。ぼっちゃまはこのことをご存知なのですか? ご存知であったとしたら、きっとぼっちゃまもセリーヌ様にお味方してくださると思いますわ」
え?
「どう、して……」
「私共は皆、貴女様のお母様、セラフィーア様をお慕いしておりましたからね……。ベルクマール侯爵家がこの地に来たのも、セラフィーア様のお力になれれば、との思いからですから。ですからね。他の誰が相手でも引きませんわ。私共は貴女様の盾になり続けますから」
ああ、ああ。
知らなかった。
こんなにも近くにあたしの味方をしてくれる人がいたことに……。
泣き止んだあたし。
マリサさんにお顔もたっぷりの乳液と蒸しタオルで整えてもらい。
アデライア姉様のお古のかわいらしいワンピースを着せてもらって、髪を結いお化粧までしてもらった。
そういえば、だけど。
髪をちゃんと洗ってもらったら、赤い染粉は全て取れてしまったみたい。
「変装用の毛染めを使っていらしたんですかね? もうすっかり取れて、元の美しい白銀の髪に戻っておりますわ」
そう言ってマリサさんが鏡を見せてくれた。
ああ、でも。
よくよく考えてみれば、あたしが毛染め効果のポーションを念じた時、変装をするためってイメージが確かにあった気がする。
だから洗髪しただけで取れてしまうくらいな染め加減の薬効が生まれてしまったのかもしれない。
綺麗に着飾り、ついでにつばのひろい帽子まで被せてもらったあたし。マリサさんに連れられロビーまで歩く。
そこには。
金色の髪によく似合う、白いシャツに白いスラックスを履いたギディオン様がいらっしゃった。
「やぁセレナ。そういう格好もかわいいね」
にこにこ笑みをこぼしながらそんなセリフを言うギディオン様。
「ありがとうございます、ギディオン様」
一瞬躊躇しちゃったけど覚悟を決める。ギディオン様に受け入れられなければどうしようもないのだし。
あたしは被っていた帽子をとって、ギディオン様に向き直って言った。
「あたし、ううん、わたくしはセリーヌです。ギディオン様。ギイくん、だったのですね……」
「え? セリーヌ? あ、でもその髪は……」
「わたくし、子供の頃、薔薇の生垣で貴方に助けていただいたこと、ずっとお礼を言いたくて。覚えていらっしゃらないかもしれませんけどそれでも。あの時はほんとうにありがとうございました。とても嬉しかったのです。泣いてしまっててお礼が言えなかったこと後悔してました……」
ギディオン様、目を閉じて額に右手をあてる。
「ああ。おぼえているよ。忘れるわけがない……。セリーヌ。いや、今はセリーヌ・アルシェード公爵夫人とお呼びしなくてはいけなかったかな……」
憂いを帯びたお顔でそう声を絞り出す彼。
「わたくし、そのアルシェード家から逃げ出してきたのです。もう、何もかも無くしてもいい。貴族じゃぁなくなってもいい。アルシェード家にいるよりはいい。そう思って、離婚届を書いて家出してきたのです……」
♢ ♢ ♢
あたしはパトリック様と結婚してからのことを全てお話しした。
愛せないと言われた事。
浮気が絶えなかった事。
それでもあたしに公爵夫人としての役割をするよう求められてきた事。
領地の経営も対外的な何もかも、公爵夫人のお仕事として頑張ってきた事。
妹マリアンネとの浮気現場を目撃した事。
それでも開き直るパトリック様と、もう一緒にいられる自信がなくて。
堪えきれなくって家を出る決心をしたこと。
最後は涙があふれ声が震えてしまっていた。
お化粧も崩れてしまったけど。
「そうか。辛かったんだね……」
全てを聴き終えたギディオン様は、そう優しくあたしの肩を抱いてくれたのだった。
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