【短編】君に、ありがとう

たおたお

16年間の感謝を込めて

本日(2024/01/13)の昼過ぎに、愛犬のチワワが虹の橋を渡りました。16歳と6ヶ月。人間の年齢にすれば80歳を超えていて、最期は安らかだったと思います。


既に亡くなっていますが上にはトイプードルの兄がいて、その弟として迎えたのが約16年前。ペットショップでたまたま見かけた子でしたが、お迎えすると決めた日、きれいな虹が出ていたのを今でも鮮明に覚えています。


大人しくて無駄吠えも全然しない静かな子で人見知りも全然しない、頭のとても良い子でした。下にまだチワワの弟、妹がいるのですがその子たちの兄……と言うかリーダーとしてもしっかりしていて、その意味では手のかからない子だったかな。


チワワには多い膝蓋骨脱臼や結石などの手術もしましたが無難に乗り越え、また慢性の白血病も持っていましたがきっちり薬も飲んで対処できていました。病院で採血される際も一切騒がず、いつも先生や看護師さんに褒められていたっけ。


ドッグランに行けば皆と一緒に走り回る……ことはせず、わが道を行くようにあちこち歩き回ってたね。お友達の飼い主さんに名前を呼ばれるとジーっとそっちを見つめるだけで尻尾を振って駆け寄ったりはしなかったんですが、それでも一杯可愛がってもらいました。


歳を取ると腎臓の数値が悪くなってきて、それに引きずられる様に肝臓や心臓も。これは犬では良くあることらしいです。人もそうですが腎臓病を治す方法はなく、療法食を食べて悪化を防ぐしかないのですが、その療法食も(時には拒否してましたが)頑張って食べてくれていました。でも昨年末からはとうとう点滴が必要になり、ここ一週間程は毎日家で点滴を打つように。毎日背中に針を刺さなければならないことに抵抗はあったのですが、それでも頑張ってくれていたんです。


上の子もそうでしたが、犬の老化の進行具合は驚く程に急激です。人よりも速く歳を取るだけあって進行も速いのでしょう。目が見えなくなり、耳が遠くなり、段々歩くのも遅くなって最後の方は立っているのもやっとな状態でしたが、それでもちゃんとトイレもして、水も飲んで。つい二週間ぐらい前まではおやつをねだりにキッチンの横に来てたんですよ。目も見えてないのに、ちゃんと場所は分かるんだなあ。


亡くなった今だからこそ思うことも色々とあって、まずは保険。この子が若い頃はまだそんなにペット保険が普及していなくて保険には入っていなかったんですが、現在は選択肢も沢山あるので今からペットを飼う人、既に飼っておられる人は入っておくことをオススメします。確か9歳ぐらいまでなら入れたはずなので。生々しい話ですが、保険がない状態で毎月の血液検査と肝臓や腎臓やらのお薬となると、軽く2,3万は飛んでいきます。更に療法食を……となると、マジで高い。ペットを飼う以上、最後まで面倒をみるのは飼い主の務めですが、だからこそ、医療費はできるだけ節約できた方がいいんです。


ペットの医療も年々進歩してきていて、ペットの寿命も伸びてきています。だから人と同様に、晩年には医療費が嵩むのは当然なんですよね。筆者はこの子と暮らし始めた当初その心構えが欠けていました。上の子が初めて飼う犬で、その一年後にこの子を迎えたので高齢になってからのことは頭になかったのが事実。医療費が掛かり過ぎてちょっとキツかった時期もあり、最期まで看取ることができて本当に良かったと思っています。


少々脱線したので話を戻して、この子たちと暮らしていて常々思っていることがあって、それは「この子たちが最後に『良い犬生だった』と思ってくれるか」ということ。沢山の思い出を持って、満足して虹の橋を渡ってくれれば飼い主冥利に尽きるというものです。


一方で、筆者もこの子たちから沢山のものをもらいました。思い出はもちろんのこと、日々の安らぎや充実感などなど、それはもう書き切れないぐらい。飼い主の私たちは君にとって『良い飼い主』だったでしょうか。16年と言う長い様で短い時間の中で、嫌なこともあったかも知れません。それでも最期のその時まで一緒に居続けてくれた君に、この言葉を手向けます。


「ありがとう」


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