後編 驚きの送り主

「あなたのご両親から。職場に届いたから、びっくりしたよ」

 ……はい?

 いやいやいや、びっくりしたのはこっちです。


 まだ正式に付き合った訳では無いので、家族には話していないし、SNSで呟いてもいません。日本にいる私の両親が彼女のことを知るルートなど……

 そこまで考えて容疑者が思い当たった私。彼女の写真を姉弟のトークルームに転送し、メッセージを付け足します。


「お姉様の差金ですか?」

「バレたか(笑)」


 姉は前の年にタイに旅行で来て、営業K氏とも意気投合していました。

 K氏が姉に、私と彼女を会わせた話をして、そこから姉が彼女にバレンタインのプレゼントをしようと思いつき、親をそそのかしたのだろう。

 と思っていたのですが。

 姉曰く

「彼女さんから、私に連絡があったのよ」

 とのこと。

 私のFacebookの友達はほとんど職場の同僚とか学校時代の旧友で男性ばかり。その中に一人だけ女性のアカウントがあったわけで。

「もしかして、日本に奥さんが居るのに、タイで遊び相手を探そうとしてる?」

 と思った彼女は直接姉にメッセージを送ったそうで。

 その度胸を気に入った姉が、親を巻き込んで今回の件を主導したという話。


 彼女に他の男が現れたのではないことにホッとすると共に、両親と小姑までノリノリだと分かったわけで。

 逃げ場無いな、と悟った私は彼女と付き合うことを決め、翌年早々に結婚式を挙げたのでした。

 めでたし、めでたし。

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私のではない花束 ただのネコ @zeroyancat

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