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福はなんだか泣きそうな顔をしていた。(心の中では、どうしよう? 花。と花に助けを求めているのがすごくよくわかった)
かちかちと時計の時間を刻む針の音だけが聞こえる。
「では花さん。花さんはどう思いますか?」校長先生はいう。
「はい。生徒のことを思い考える教育とは…」
「いえ、その定義は福さんの定義です。花さんはどう思いますか? 本当に良い教育とはなんでしょう?」と校長先生は言った。
その質問に花は少し考えてから「愛のある教育です」と言った。
「愛。愛ですか? では花さん。愛のある教育とはなんでしょう?」
「それは、『子供のことをきちんと子供として』あつかう教育だと思います」と言った。
「子供のことをきちんと子供としてあつかう教育」と校長先生は花の言葉を繰り返した。
「はい。子供を大人としてあつかうのではなくてきちんとまだ大人の保護が必要な子供としてあつかうことです。それが愛のある教育だと思います」花は言う。
「花さん。今の意見は誰かから聞いたり教えられた意見ですか?」
「違います。私自身の意見です」と花は言う。
すると校長先生はにっこりと笑って「わかりました」と言った。
それから二人は校長先生と少し紅茶を飲みながら雑談をした。(その雑談の中で校長先生は福の答えについて自分の意見を話してくれた)
「今日はどうもありがとう。無理に時間を作ってきてもらってごめんなさい」帰るときに校長先生は二人に言った。
校長室の古い歴史ある扉の前まで一緒にでて、校長先生は珍しく二人のことを見送ってくれた。その帰り際に「花さん。あなたは今幸せですか?」と校長先生は言った。
その校長先生の言葉に「幸せです」と花は言った。すると校長先生はにっこりと笑って花の耳元で「嘘つき」と言った。
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