13
土色の道を歩いて二人は欅の古い歴史ある校舎にたどり着いた。廊下を歩いて、いつもの見なれた古い立派な扉の前まで歩いていく。とんとんと扉を叩くと「どうぞ」と声が聞こえた。
「失礼します」と言って花と福は扉を開けて部屋の中に移動する。
その部屋の中には一人の老齢な女性がいる。若葉色の服を着た、綺麗な白髪を頭の後ろで蝶の髪飾りでまとめている。強い目をした女性。欅の校長先生だった。
「ごきげんよう。お二人ともそこに座ってください」と校長先生が優しい声で言う。
二人は校長先生にご挨拶をしてから椅子に座った。
「大葉花さん。あなたは私によく似ていますね。だからとても心配になります」と校長先生は言った。
その言葉を聞いてくすっと思わず福が笑った。(瞬間、校長先生と花が同時に福を並んだので、福は確かに二人はよく似ていると思った)
「本当に良い教育とはなんでしょう? 今日はお二人にその話を聞いてみたいと思って呼び出しをしました。まずは野山福さん。どうですか?」
「はい。えっと……」
と言って少し考えたから福は「生徒のことを思い考える教育だと思います」と言った。
「生徒のことを思い考えるとは具体的にどう言った教育を言うのでしょうか?」じっと福を見ながら校長先生はいう。すると福は黙ってしまう。「生徒のことを思い考えるとは、生徒の未来を大切にすると言うことでいいでしょうか?」校長先生はいう。「未来は大切です。でも今も同じくらい大切なんだと思います」と花が言った。「花さん。あなたの意見はこのあとお聞きします。私は今、福さんに聞いています。福さんどうですか?」と校長先生は言った。福はやっぱり口をつぐんで黙ったままでいる。
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