第31話 安全保障局
陸上戦艦『朱雀』の
第2戦団司令官である有馬
「一樹少佐、参りました」
「どう言う状況か?」
サブモニターに映る御堂と入鹿、そしてイルドラ兵3名を注視したまま、
「申し訳ありません。善処します」
争いの現場である中央デッキへ向かおうとした一樹を
「善処とはどういうことか?」
「はい。合同演習に支障をきたさぬよう仲裁を・・・」
「それは問題ではない」
「・・・は?」
「第2戦団の旗艦である『朱雀』の中央デッキに、なぜイルドラ兵がいるのか?」
「私の独断です。私の責任において対処します」
「その説明で安全保障局が納得するか?」
一樹の顔が、一瞬にして強ばった。
安全保障局とは、いわゆる秘密警察である。
近衛軍と同様に帝の私兵であるが、近衛軍が「剣」の役を果たすとすれば、安全保障局は「盾」の役を果たす。
近衛軍は、星間協定の違反者に対する場合を除けば、法に縛られた軍事行動しかできない。しかし安全保障局は、帝を守るためなら法に縛れない捜査権と裁判権を有している。
監視カメラに映された映像・・・。
トーエン中尉が、入鹿の右腕の戦団章を引きちぎり床に投げ捨てた。その戦団章を拾い上げようとした入鹿の左手ごと軍靴で踏みつけている。
第2戦団の戦団章は、赤地に黒い不死鳥を描いた紋章であり、黒い不死鳥は帝国の帝を表している。
戦団章を足で踏みつけるのは、第2戦団のみならず帝に対する侮辱行為である。
「
一樹は唇を噛みしめた。中央デッキのイルドラ兵を抹殺するか、それとも戦団章への侮辱行為を宣戦布告とみなして交戦するか・・・
「受けた侮辱は剣によって返す。貴官の撒いたタネだ。責任を果たしてくるがいい」
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