第33話報復行動1

「では、お願いしますね」


「畏まりました」



 私は、今日、学園で大変お世話になった方々の各家に損害賠償を請求する通知を発送させた。

 理由は二つ。

「侮辱罪」と「名誉毀損罪」

 ウォーカー侯爵家とカルセドニー辺境伯家の連盟で。


 まぁ、ロザリンドのカルセドニー辺境伯家は別の意味で報復済みでしょうけれど、それでは私の腹の虫がおさまらない。

 学園内の事だとしてもそれはそれ、これはこれ。

 そういう意味ではロザリンドを始め、カルセドニー辺境伯家の皆様は優しい。学生だからの一言で納めてしまえるくらいに。その分、報復対象は近衛騎士団と一部の宮廷貴族に集中してます。


 彼等は辺境伯家の重要性を理解していない。

 いえ、近衛騎士団の幹部クラスと政治の中枢にいる者は理解しているでしょう。ただし、それ以外が微妙……。辺境伯家を王国の端にある田舎と勘違いしている輩までいるのだから困ったものです。

 国境を警備する砦だという事を知らないのでしょうか?

 幼少期に学ぶでしょう。

 学園でも学ぶ筈なのに。

 それでも辺境伯家を侮る近衛騎士と宮廷貴族が後を絶たない。バカなのかしら?バカだから身分が上の私達に対して、舐め腐った態度が取れたのでしょうね。


 もっとも今頃、近衛騎士団も宮廷貴族達も別途で顔を真っ青にしているでしょう。


 近衛騎士団は知らなかったのかしら?

 自分達が使用している剣の製造元を。

 数々の武器を生みだしているのは辺境伯家です。

 勿論、全員がそうとは言いませんが、魔の森とまで称される魔獣の蔓延る土地を治めているカルセドニー辺境伯家がいなければ、この国は魔獣によって滅ぼされていてもおかしくない。その魔獣から国と人を守るだけでなく、魔獣の肉を産地のブランド肉にまでし、魔獣の牙で剣を造り、魔獣の目で魔法石を造りだし、魔獣の皮で革鎧を作っている。

 それが辺境伯家です。

 その功績は王家も認めるところ。だからこそ、侯爵家の次に権限ある地位に辺境伯を置いているのです。辺境伯は五大侯爵家以外で唯一、「独立する権利」を与えられた貴族です。

 つまり、自分達の意見を通す権利がある。王家が命じたことに意見を出して反することだって出来ます。それが武力であれ財力であれ情報であれ。また、特権を乱用しない限りはなにをやっても良いとされています。

 そんな辺境伯をないがしろにしたあげくに、上辺だけの情報で踊らされた愚か者たち。


 彼等は今頃後悔しているでしょうね。



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