第34話報復行動2

 近衛騎士団に新しい武器は配布されません。

 新しい剣も、新しい革鎧も、新しい魔石も、新しい防具も。そして何よりも中央に位置する武具屋は近衛騎士団に今後一切、武器も防具も売らないと宣言しています。それはそうでしょう。カルセドニー辺境伯家あっての武具屋。近衛騎士団長が頭を下げようが何をしようが決して売らないでしょう。


 後悔しているのは宮廷貴族も同じ。

 彼等は商人達からそっぽを向かれました。

 情報が命と言っても過言でない商人達は、学園に通っている貴族子弟の大半が侯爵令嬢と辺境伯令嬢に喧嘩を売ったという情報を得ていた。子弟達が私とロザリンドに喧嘩を売ったつもりはなくとも客観的に見るとそう取られても仕方ありません。


 新しいドレス、宝飾品、靴、化粧品、あらゆるものが購入できなくなった貴族達。

 どんなにお金を出しても買えない状況は辛いでしょうね。ですが、それらの原材料が何処から来ているのかを考えれば当然でしょう。基本、王都は物を売る場所。作り育てているのは地方です。地方貴族が売らないと言えば彼らは生きていけない。


 あら?

 意外とカルセドニー辺境伯家の報復は多岐に渡ってました。


 学生、また元学生には手出ししていなくても、その関係者に対する報復は結構してましたね。




 憶測ですが、王家は第二王子殿下とロザリンドの婚姻を本気で考えていたんでしょう。それが無理なら近衛騎士団か宮廷貴族の子弟の元に嫁いで欲しかった。カルセドニー辺境伯家だけでなく他の辺境伯家は王家や中央貴族とは疎遠状態です。そもそも余程の理由がなければ領地から出ないのが辺境伯家。

 王家としては繋がりを持ちたいのに断られている状態でした。

 そこのところは互いの考えの違いでしょう。

 辺境伯家は基本自分達とその周辺が豊かで平和であれば良いのです。だから周辺貴族との交流は大切にする。中央貴族は物を買う客でしかない。それも替えの効くもの。いざとなれば独立してしまえばすむ話しですしね。その時は五大侯爵家の独立するであろう、と踏んでいるので逆に中央にそこまで思い入れをしないのもありますが。


 カルセドニー辺境伯家と近衛騎士団の間に修復不可能な亀裂が入った事に今頃王家は頭を抱えているでしょうね。私の知った事ではありませんが。




 願わくば、損害賠償請求書を郵送で送った意味を各家でしっかりと理解して対応して欲しいものです。

 子供の責任は親が取るのが当然とした辺境伯家と違い、ウォーカー侯爵家は本人にもしっかり責任を取っていただきます。既に結婚していた場合は婚家に通知が届きますから御安心を。婚家を巻き込んで責任追及して差し上げます。

 ええ、彼女達ならこんな事態に遭遇しても大丈夫でしょう。自分達よりも遥かに上の地位にいる私にあそこまで豪語したのですから。

 身分に捕らわれない優秀な人物なら簡単でしょう。

 是非、それを実際に見せて頂かなくては。


 だって、私は身分だけで第二王子殿下の婚約者候補に連なった女ですもの。




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