ショートショート「いいよいいよ」
「ごめんね、あんなひどいこと言って」
「いいよいいよ、先生に怒られてたからきげんがわるかったんでしょ?仕方ないよ。」
「ごめんな、大学進学を諦めさせてしまって」
「いいよいいよ、お父さんも会社が大変なんだし、お母さんもパート頑張ってるんだから、僕も我慢しないと。仕方ないよ。」
「ごめんなさい、やっぱり別れて」
「いいよいいよ、彼の方が僕より将来安心して暮らせそうだし。仕方ないよ。」
「すまないね。こんな形で会社を辞めてもらうことになるとは」
「いいですよいいですよ、この不況なら僕よりもっと優秀な人材を残すべきですもんね。仕方ないですよ。」
「本当にすみません。あなたの臓器を必要としている人がいるのです。」
「いいですよいいですよ、こんな老いぼれより未来ある若者のために使ってもらった方がいいですからね。」
僕が我慢することで幸せになる人がいっぱいいた。いずれこれが僕の幸せにつながるはずだ。
「あなたは生前、自らを犠牲にして利他を行ってきました。悪行を積んだものは虫や家畜などに転生しますが、あなたには再び人としての生を与えましょう」
やっぱりこれが正解だったんだ。我慢しなかった人たちと違って、僕はもう一度人として生きることができる。
「ごめんね、あんなひどいこと言って」
「いいよいいよ、先生に怒られてたからきげんがわるかったんでしょ?仕方ないよ。」
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