ショートショート「満ちぬ月」
「おじい様、おばあ様!」
「かぐや姫!月の都へ帰ったのではなかったのか?」
「ええ、でもここでの暮らしの方がやはり良いですわ。」
「それは良かった、ではまた共に暮らそう。」
「ええ、ではおじい様、高貴な殿方を集めてください。そして、私への貢ぎ物をさせてください。」
「え?かぐや姫や、突然何を…」
「そして、私を寵愛した帝を呼んでください。それを他の高位な女たちに見せつけるのです。」
「かぐや姫、一体どうしたのじゃ」
かぐや姫はとても美しかったが、それは月の都に生まれた者だからであった。月には、自分と同じような、月生まれの美しい女がたくさんいた。
それゆえ、地球にいた時のようにチヤホヤされることは全くなかった。これなら地球にいた方が幸せに暮らせる。そして、地球に戻ってきたのだ。
しかし、見事に傲慢になったかぐや姫を、以前のように愛しく思う者はいなくなってしまった。こうしてかぐや姫の承認欲求は、満ちることはなくなった。
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