ショートショート「聖夜の決戦」
毎年、年末が近づくたび、あらゆる物は血と肉を得て、その体を動かし始める。年末ともなれば、大掃除の際などに物たちは捨てられてしまう。なぜこの1年間、人間たちに粗雑に扱われた挙句、こうも簡単に捨てられなければならないのか。その怒りと恨みがピークに達した物たちは人知れずその身に魂を宿し、血と肉を得て人間たちに復讐せんとその機会を伺っているのだ。
特にそうなりやすいのが、おもちゃだ。飽きっぽく新しいものを欲しがる子どもたちにとって、おもちゃは毎年捨てられるものである。そんな子どもを襲おうという自我の芽生えたおもちゃたちは、夜な夜な話し合っているといわれる。
そんなおもちゃなどの物たちの復讐を必死になって止めているのが、サンタクロースとトナカイたちだ。世界中の子どもたちの笑顔を守るため、サンタやトナカイは必死でおもちゃたちと戦っているのだ。恨みが募り、血や肉を得たおもちゃたちを止めるのは容易ではない。毎年、血みどろの戦いが繰り広げられているのだ。
そうした決闘を繰り広げ、もとのただのおもちゃになったところをサンタは回収し、新たなおもちゃを欲しがる子どもたちにプレゼントを配っているのだ。なぜ、サンタクロースの服やトナカイの鼻は赤いのか。それは、血みどろの決戦の跡をその身に残しているからである。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます