ショートショート「シークレットインベージョン」
「地球の皆さんこんにちは。我々は地球から遠く離れた星から来た者だ。我々の目的は地球侵略だ。お前たちの星を我々のものにしに来たのだ。といっても、お前たちが考えてるような侵略はしない。UFOからビームを撃ったり、怪獣やロボットを使うなんて物騒な真似はしない。我々はじわりじわりと侵略をする。密かにこの国の政治家や大企業経営者を洗脳し、我々の思うように行動してもらう。おそらくお前たちが苦しむような政策や商売をさせるだろう。そしてじわじわとお前らが苦しんでいく様を見届けてやろう。もちろん、世界中に我々の仲間はいる。今いる国から逃げても無駄だ。この星で我々からの圧に耐えながら、せいぜいもがくがいい。ではさらばだ。」
「首相、映像は流し終わりました。」
「どうだね、国民の反応は?」
「怒りや恐怖、絶望を感じる声が多いですね。国民の不安は増大するかと。」
「まあいい、どうせ生活に大きい変化が出るわけじゃないし。すぐ収まるだろう。」
「しかし、大胆なことを考えましたね。政府の我々がネットやテレビをハッキングして、宇宙人の映像を流す、なんて聞かされたときは驚きましたよ。」
「ああすることで、国民の怒りは存在しない宇宙人に向けられるわけだし、私たちがどれだけ国民が不満をもつような政策を考えたり、経営者たちと癒着しても、宇宙人の洗脳のせいだと勝手に解釈してくれるからな。しかも世界中だと言っておいたから、外国とのもめごとも宇宙人のせいにできる。これで上手くいくはずだ。」
「しかしよく、すんなり国民は信じましたね。」
「意外と荒唐無稽な話の方が信じられやすいのだよ。陰謀論者なんかこの国に山ほどいるからな。あとは、よくわからないふりをして、好きな政策を立てていけばいいだけだ。」
「愚かな星だな。侵略する価値もない。」
大気圏外から1つのUFOが姿を消した。
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