第5話 低気圧体調不良とバレンタイン

「うーん。」詩乃はベッドから起き上がれずにいた。

2月13日今日は雨の日だ。

起き上がると、目眩がし吐き気がするのだ。

詩乃はこのままいつも通り学校に行けそうに無く、スマホを取り電話をかけた。

一度目は実母の妹、叔母の萌花もえかに電話したが応答がなく、違う人に電話をかけた。

『もしもし、詩乃?どうしたの?』電話に出たのは、二従兄弟のりんだ。凛は詩乃の実母の従兄弟の子供だ。

実母の実家とは関係は良好なのだ。詩乃が唯一家族と呼べる人達だ。

「凛姉ちゃん…今日大丈夫?」詩乃は力無い声を出した。『今日は、大学休学だから大丈夫だけど、それより詩乃元気無くない?!体調悪いの?!熱?!』凛は慌てた様子で詩乃に質問した。詩乃は泣きそうになりながら「低気圧?かわからない…けど…目眩…吐き気…とまらない…」と訴えた。凛は更に慌てて『すぐ行く。学校にも電話してあげるし、萌さんにも言ったあげる。待ってて』と言い通話が切れた。

すると詩乃は吐き気が更に襲いかかり、トイレへ駆け込んだ。するとそのまま吐き出した。


ーーまだ…楽にならない…


詩乃は涙目になりつつ、目眩、吐き気と戦った。


「詩乃?!大丈夫?!」合鍵を持っていた凛は部屋に入り、詩乃を見ると慌てて詩乃の背中をさすった。

「うん…少しマシ…」「薬飲んだ?」「飲んでない…」詩乃はふらりと立ち上がった。

凛は詩乃の額に手を当てた。「熱はないのね。低気圧かな?」凛は詩乃を支えるとソファーに座らした。「とりあえず、学校には遅れていくって連絡しといたよ。詩乃、どうする?休む?」凛はお茶を入れ詩乃に渡した。詩乃は首を横に振り「休めない…。今日将来の夢のプロジェクト発表だから…」と言った。

凜はため息を吐き「マシになったら行こ。でも無理はしないこと。今日、ここに泊まるから。」と詩乃の肩に手を置いた。詩乃はコクリと頷くと「偉いね」と凛は詩乃の頭を撫でた。


◇◇◇◇

結局、詩乃は1限目が終わる五分前に学校についた。

学校には、凛が車で送ってくれた。


ーーマシになった。


詩乃は1限目の終わりのチャイムがなる頃に靴箱に付き、靴を履き替えた。


◇◇◇◇

詩乃がゆっくり教室のドアを開け中に入ると、「大丈夫?!詩乃ちゃん」と愛とめぐみが側に駆け寄ってきてくれた。詩乃は少し微笑み「大丈夫だよ。ちょっとしんどかっただけ。熱は無かったよ」と答えた。

「詩乃、体調悪かった?」席につくと側に寄ってきてくれたの、目が丸い童顔な男子。彼は詩乃の保育園からの幼馴染慶野 雄馬けいの ゆうまだ。

詩乃は「大丈夫だよ」とだけ返した。


◇◇◇◇


次の日になると、体調は万全に戻っていた。

詩乃は朝からワクワクしていた。

今日はバレンタイン。詩乃の学校はお菓子など食べても問題は無いのだが、何故かバレンタインチョコのやり取りは禁止だ。なので、みんなバレずに持っていくのだ。

詩乃は大量のチョコをカバンに入れてると家を出た。


◇◇◇◇


『チョコあげる〜』『ありがとう〜』クラスでは、教師がいないうちに、チョコのやり取りが始まっていた。

全員が、女子の友チョコだが。

「あ〜。チョコ貰えねぇ〜」亮平がダルそうに詩乃に絡んだ。詩乃はふふっと笑いつつ「チョコいる?余った物だけど」とチョコを渡した。「マジで?!ありがとう」亮平は嬉しそうにチョコを受け取った。

「熱いね〜。全くクラスでイチャつくなよ〜」雄馬が言い始め、周りがヒューヒューと盛り上がった。

「詩乃、これって本命で受け取っていい?」「好きにすれば。」

詩乃はいつも通り気だるげで艷やかな声で答えたが、少し顔を赤らめた。「まぁ、俺は本命で受け取るわ〜」亮平はヒヒッといたずらっぽく笑いチョコを一口食べた。

「手作り?」「市販だよ。」詩乃はまだ、顔を赤らめていた。

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