第2話 日常が変わりゆく

 10分くらい、周りは教え合いで少しざわつく中、三人は黙々とプリントを進めていた。

「そう言えば、亮平」光が口を開き亮平は首を傾げ、詩乃は三人をチラリと見た。

 光は少し笑いつつ「今日、ゲームできる?百花繚乱の方」と聞いた。 

 ーー百花繚乱ってまさかあの?

 詩乃は目を輝かせ「二人共百花繚乱やってるの?あの戦闘ゲームの」と聞いた。二人は一瞬不思議な顔をしたが「まぁね。」と笑って答えた。詩乃は更に目を輝かせ「私もそのゲームやってるよ。」と言った。

 百花繚乱は、3Dの戦闘ゲームだ。ちなみに詩乃が一番気に入っているゲームだ。

「マジで?」亮平は嬉しそうに詩乃を見つめ「どれくらい強いの?てか、今日の夜あいてる?他の人にも声かけるから」と次々に質問され、詩乃は嬉しく思いつつも質問に返した。


 ◇◇◇◇


「お腹空いた」昼休みになり詩乃は放送室で背伸びをした。

 詩乃は放送委員なのだ。他の委員会はクラスで二人立候補できるが、放送委員は一人だけだ。仕事をする人数は三人まで選べ、詩乃はゆっくりしたいのもあるのと、一緒の学年の子達が仲が良いと判断したので、一人を選んだ。

 案外それも悲しくは無い。好きな曲を選べ、一週間に一度は、一人でリラックスできる楽しみもあるのだ。

 詩乃はCDを入れると、マイクの音量を上げ「これからお昼の放送を始めます。」と一言だけ言い、曲を流した。

 最初の一曲目は、15歳の思春期が盗んだバイクで走り出したり、家出をしたり、覚えたてのタバコを吸う曲だ。

 ちなみに、詩乃は昭和のちょうど同い年くらいの子達の両親の年代の曲を流していた。

 始めて流した時から、教師達の話題になり、生徒からも話題になっていた。

 さて、一時間あるうちの45分間はこの放送室で過ごすのだ。

 詩乃はお菓子をつまみつつ、本に目を落としていた。すると「だ~れだ?」と目隠しされ詩乃は笑いつつ、「めぐみちゃん」と返した。「正解」と声とともに視界が明るくなった。

 めぐみ…金谷かねたにめぐみは詩乃の親友だ。すごく気が合い、高校に入学してから仲良くしていた。

「どうしたの?」「遊びに来た。愛ちゃんも来るって」二人は笑いあいながら、お菓子を食べた。


◇◇◇◇


それから、お昼に授業を乗り越え、放課後になった。

放課後は大体バイトか、家に帰って小説を書くかのどっちかだ。

だが、今日は違う。亮平達とゲームの約束をしたのだ。

詩乃はワクワクする心を抑えつつ、家のドアを開けた。



     詩乃は、アパートの一人暮らしだ。












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