恋と真実

関ケ原 しらす

第1話席替え

1月29日の冬の教室。外は寒いが、教室の中は暖房があり、暖かい空気が包みこんでいた。

そんな中、高校1年生の女子小村 詩乃こむら しのは、教室の黒板の前で呆然としていた。

今日は、学生の大事なイベント席替えだ。朝、黒板には新しい席が張り出されていたが、席は後ろから2番目で窓側の2列目で、良くもなく悪くもなくだ。だが、班のメンバーが、他は四人で男女2人で分けられているが、詩乃が決まった班は、男子二人で女子1人だ。隣の席の男子、宮西 光みやにし こうは、小学校からの友達で仲が良いが、後ろの席の男子、三原 亮平みはら りょうへいは、全く話したことがなく、陽キャの分類で、落ち着いた性格の詩乃はあまり得意ではないと思っていた。

少しして、詩乃は諦めがつくと自分の席にリュックを置くと机を移動させた。

「よっ詩乃〜」新しい席につくと、隣の席の男子、宮西光が話しかけてきた。「ミヤ、隣の席で良かった」詩乃の気だるげな艷やかな声が響いた。「前も、席近かったけど〜」ミヤは笑いながら詩乃とハイタッチをした。「まぁ、けど前は、同じ班じゃなかったから」詩乃もつられ笑った。


◇◇◇◇


二限目、「班体型にして〜」と教師の声が響いた。

ーー早速来たね…

詩乃はため息をつくと班机にした。「亮平が班長って任せられんな〜」ミヤは、笑いながら教卓にプリントを取りに行った。「班が 崩壊しそう‥」詩乃は、思わずつぶやいた。「詩乃〜ハッキリ言うなよ〜」亮平は、頬杖をついて笑いながら詩乃を見つめた。

亮平の切れ長の目、優しく微笑む顔に見つめられ詩乃の心臓がドクッと嫌な音をたてた。


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