第五十七話 多すぎる報酬と良き友
そろそろ出ようと思ったその時
『そうそう、君らにぜひ会いたいと私の守護者つきものが言っておってな。』
そうユグドラシルが言うと三体の鎧の騎士が上から降りてきた。
この気配に見覚えがある。ここに来る前に俺らが戦った守護像ゴーレムと同じ者だ。
身体の大きさは先程とは違い、俺らと大差ない大きさだ。
重騎士の守護者が智一に近づく。
「さっきの…」
「少し前ぶりだな。智一殿。」
重騎士は兜を取り外す。
中は凛として長金髪のクールなエルフの女性だった。
智一は少し驚くがそれよりもミナの方が驚いていた。
「驚いたか?まさか中身が女だったことに。」
「いや、声から女性だとは予想がついていたがまさかこんな美人だったとはな。」
「君にそう言ってもらえると嬉しいよ。」
なんだかミナと居る時くらいいい雰囲気な気がする。やはり拳や剣を交わした者同士は戦いの後は仲良くなるものなのか。
そんな光景にミナが慌てている。やっぱ気になってるんだな。智一の事。
『彼らは元より生きる者であったが若くして死に、後悔を持ったままであったので私と契約して精霊として生まれ変えた。』
「今はユグドラシル様の下で
「で、俺に何のようです?」
「君にこれを渡したくてね。」
その手には竜の顔を模した紅色に輝く小手があった。
竜双・屈鋼の小手:現在智一の付けている物よりも頑丈さや攻撃力も高く、特殊効果として
「生前の私が使っていたものだ。今の私には不要なものだし宝の持ち腐れになるのなら憧れた君に渡すのが正解だろう。」
「それなら、受け取ろう。」
「あこ…がれ…?」
ミナは変なところに反応した。
「にしても、君の拳はなかなかだったぞ。生前の私なら確実に求婚していただろう。」
「それはどうも。」
(求婚?!憧れに求婚、それにあのよさげな雰囲気…まさか智一君と…)
ミナの頭の中ではクレアと智一が結婚式を挙げる姿を思い浮かべてしまった。
「わ、智一にとって貴方は友人まででしか認めません!」
「なんでミナが親顔してんだ?」
そんな姿にクレアは微笑み、ミナに寄る。
「そうだな。だから君が彼を見ていてくれ。」
「そのつもりです!。」
なんだかんだで収まった。
クレアは託したのだ。自分が恋した人もその気持ちも…
「・・・。」
弓使いの守護者がミナに近づく。
「えっと…」
「彼女はテリファ。新人だが実力はかなりある。ただ、ちょっと人見知りでね。ほとんど喋らないんだ。」
クレアは苦笑しながら説明してくれた。
テリファは首飾りのようなものを取り出し、何も言わずにミナの首に掛けた。
それには桜の木と遠近法で描かれた満月、その周りを花びらが舞っている柄をしたもの。
夜桜の首飾り:所持者の魔力量の最大値増加、魔法耐性の向上、そして
「こんな凄いもの、いいんですか?」
「・・・。」
テリファは颯爽とクレアの後ろに隠れ、頷く。
「いいって。それと、似合ってるって。」
「あ、ありがとうございます。」
テリファとミナはお互いにペコペコとお辞儀をした。
俺のにはトロフィが来た。
「よお、また会ったな。」
「そうだな。」
トロフィに何か用でもあるの?と聞く前に要件の物を渡してきた。
それはトロフィの使っていた霊剣だった。
「!?それって…」
「いいのだ。こいつはお前が持っておくのが正解だ。きっとこいつも喜ぶ。」
「本当に?」
「二言は無い。俺は今回の闘いで知ったんだ。俺はこの剣と
分かるな?」
「・・・分かった。でも俺は大剣以外を使ったことがない。」
『その剣をお主の剣にかざしてみよ。』
ユグドラシルの言う通り
その瞬間、二本の剣が光り出して一つに交じり合った。
出来たのは
「特に変わった様子は...」
『目覚めよ。と念じればいいのだ。』
え?そんなファンタジーあるあるなことでいいのかと思いつつ、目覚めろと念じた。
そうすると剣が大きく変化した。
剣の半分は怪物の上顎側を模した異様な形をし、牙や赤く光る発光部分が所々ついている。
もう半分は悪魔の容姿を残しており刃先が津波のような形をして中心には黒い不気味な目の模様が現れて柄の部分は刃に沿って骸の鬼の
効果にも敵を倒してきた分だけ強くなる。そしてこの状態で鬼悲鳴を使うと相手の恐怖心を煽ることができる。それはゴースト系統にも有効。
他の技を使えるようになった時にはもっと幅が広がりそうだな。
「凄いな。」
「格好いいね。」
「お互いの良いとこ取りか。」
かなり強化されてしまった気がするけどこれで俺はトロフィの剣の力を持て余すことなく扱える。
『それと私からのご褒美じゃ。』
まだあるのかと思う。これ以上貰ってしまうとなんだか申し訳ない気がする。
『蘭淳也の
装甲結界 に改変。
及び
加えて称号:番人王からの承認を取得しました。』
おいおい、情報が多すぎる。こんなに選別してもらえるとは思いもしなかった。
・生殺与奪:
体力が少なくなるとクリティカルが入りやすくなる。敵が自身に対して恐怖を覚えると敵の速度を低下させる。
・炎系強化:
・水流操作:水を発生させるに加えてその水、そして出した水が触れた水の一定範囲を自在に操れる。
・装甲結界:自身の防具に最大二枚の結界魔法を重ね掛けしてフィルターをかける。
番人王からの承認:番人の遺跡の王から認められた者に与えられ、番人の遺跡の王が関わった
なんだか化け物
「そういえば、さっき天井人の生まれ変わりがなんとかって言ってなかったっけ?」
「ああ、俺も詳しい事は知らないが生前、神樹の民を一度見てな。その時解析をそれに向けて使ったんだが生憎ほとんど文字化けしてわからなかった。
それを俺は天井人と呼んでいてそのオーラが似ていたと感じただけさ。」
俺の
てか、神樹の民ってユグドラシルが戦っていたころだから相当前だよな。トロフィって何歳なんだ?
『エルよ。お主の方に何か違和感はなかったか?』
「そうだなぁ…なんだか
『神官...もしかすると。』
ユグドラシルは気難しい顔をしていた。
見覚えのあるがこちらの者ではないらしい。エルに送ろうとした精霊も急に倒れてしまって焦ったそうだ。
『エル。もしかしたらこの先、闇より深い物が貴女そなたを蝕むかもしれない。』
「…わかった。気をつける。」
エルに何があったのか知らないがあまり気分がよさそうではないので聞くのを控えた。
まあ、色々聞けたことだしそろそろお暇しましょう。まだ先は長い。もう少し居たい気もするけど今でも愛茉が苦しんでいるかもしれない、巻き込まれた人が辛い目にあっているかもしれない。
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