第五十二話 挑戦者
80階層には智一が。
「ここは...」
巨大な東京ドーム1.5個分ほどの広い闘技場。観客席には誰もいないがライトは智一を照らす。
夜空が広がり風が吹く。
「出口は...あれ。」
1㎞先にある大きな扉の付いた通路。智一はそれに向かって駆け足で行く。
(ん?なんだ。)
ズシリズシリと重い足音がその通路から聞こえる。
黄色い小さな縦棒の光が三本見える。
明かりで姿を現す。
智一五人分の高さ。重騎士のような恰好をして肩に巨大な斧を担いでいる。空いている手には盾を装備している。
通路から体が全て出るとジャンプして智一の目の前に着地した。
「こりゃまた、とんでもねぇ大物だな。」
名前:不明〈不明〉性別:不明 Lv推定180 種族:
武器:
能力スキル:自己再生
断崖絶壁 メタルキャノン 風車 身体強化 身体硬化 天罰落とし ガードブレイク 鋼鉄障壁
仲間:番人の王
攻撃、防御、魔法耐性不明 速さ80 魔力1200 知力55
(肝心な攻防が不明ってどういうことだ。それだけ強いってことか?)
守護像と智一は互いに構えた。風が一吹きした後智一が右足を前にズラす。瞬間、同時に前へ跳び接近する。
最初に攻撃が入ったのは智一だ。重心を前に思いっきりかけて重甲を使用した拳で力強く胴を殴る。
衝撃で守護像は後ろに押された。
片手で斧を後ろに振り勢いを殺して前に跳び出た。
斧を流れるように斬り回しそれをギリギリで避ける智一。土煙が舞うが二人の周りには寄せつかない。
智一はタイミングを見計らって斧の面を叩いて弾く。怯んだところを両手の平で衝撃を与える。
守護像は斧を回して遠心力で振り下ろすと共に天罰落としを使って切りつけた。
智一は後ろにバク転し着いた手を固定して鉄棒で大車輪をするように一回転して低空で敵の足を蹴った。
落ちてきた頭と身体を
「
全身に電気が巡る。
「よっと。こんなもんか。」
(にしてもあまり強くなかった気がするが・・・何か不自然だな。)
すると守護像は立ち上がった。
「っ?!」
(心臓は壊したはず...)
守護像の崩れた身体は再生し傷がなくなった。そして上を指した。
見上げるとほとんど球体型の赤い鉱石が高さ10mほどの場所に浮いていた。
「なるほどな。さっきお前の体内で壊したのは
しかしそれなら簡単だ。上空にある
守護像の威圧、オーラが増したのだ。
智一は構える。
(斧を振る攻撃か。それなら見切っ)
智一は反射的に避けたが肩を掠った。
(?!さっきよりも攻撃速度が上がった?)
集中力を高めて素早く避けようとするがギリギリ刃が当たる。
「見切り。」
速度が上がり攻撃も一定時間遅く見えるようになった。
(これでなんとかか。)
危機を感じた智一は最初の一撃よりも力を込めて水流拳で流れるように敵の的に拳を近づかせて当たる瞬間ガードブレイクで殴った。
後ろにズレるがへこんだりは一切しなかった。むしろ逆に智一の手に痛みが残る。
「硬くなってやがる。」
守護像のステータスの本当の数値は
「面白れぇじゃねぇか。」
智一の戦いの幕が今開ける。
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