第四十六話 簡易な違和感

門を開いたその先には大きく球体型に広がる部屋。周囲には発行する鉱石でできた大きなキノコと灰色の雑草が生えており真ん中には巨大な中にブラックホールのようなものが浮かんでいるガラス玉が宙に浮いている。




「今までとはちょっとばかし雰囲気が違うな。」


魔法によるものなのか、はたまた誰かが過去に…

近くに魔力反応を感知した。ガラス玉の上からこちらを見下ろしている。


敵さんは雷の球を数発撃ってきた。

そこまでの速さではないので全員軽々と避けた。




「流石にこれが実力ってわけではなさそうですね。」


「先ずはご挨拶っていったところか。」




敵が降りてきた。巨大な羽蟻、そしてなんとも機械らしい姿をしている。


解析したところスチールクイーンアント Lv130




「早速親玉か…」


「でも蟻ってことは...」




予想は的中した。ユンタが吠えルークが威嚇する方向からスチールアント平均レベル75が溢れてきた。そこそこのレベルだが問題は数だ。


女王蟻は1日多いとき100から1000個の卵を産むらしい。に加え、この遺跡ができてからかなりの年月が経つと考えると億は超えるだろう。




「どうしましょう。」


「準備運動がてらに一掃する?」




エルはストレッチしながら言う。本当に準備運動程度に考えているらしい。




「これ準備運動なのか?」


「とりあえず周りの奴らを一掃しつつ、女王蟻リーダーを叩く。一応だが周囲に次の階層に繋がる出口がないか探しておいて。」


「了解です。」


「探知じゃダメなのか?」


「隠ぺい魔法とかでわからない場合もあるから両立して行ってくれると嬉しい。」


「了。」




女王蟻が叫ぶと同時にスチールアントの軍団が襲い掛かってきた。


俺らも前に出る。


俺は大股一歩3mで大剣を持ちながら駆ける。アントらに噛みつかれる前に息を大きく吸って剣を片手で横へ振り薙ぎ払った。


手前のは斬られた箇所が真っ二つになったが後方が体半分まで斬れて倒れている。


スチールアントの最も厄介なところは丈夫過ぎる体である。そのため一体を倒すのにもかなりの力がいるし並みのハンターなら十体倒せれば上出来なのだ。


スチールアントが仲間の死体を踏みつけて前進する。

もうちょい力入れないと時間かかりそうだなぁ




風車を使って敵を壁に叩きつけて命狙おいのちごめんと風切りでアント軍団を切り落とした。


炎斬を使えば一撃?

確かに炎系はよく効くがそれだとスチールアントの甲殻が溶け品質落ちしてしまう。だから使わない。




智一は器用にアントの柔らかいお腹の部位を狙って殴りや鋭い蹴りを入れている。


アントが下からの飛び出してきたときは全身が出る前にローキックで倒し囲んで襲ってきたときは回し蹴りを。

遠距離で魔法を使ってきたときは爪を立て、腕に魔力を込めて矛のようにして魔法事身体を貫く。闇魔法:地獄突き 程ではないが配下程度なら十分だろう。


「こんなもんかなっと。」




智一は本当に先頭に関しては器用なのだ。この世界に来てまだ間もないころに体内を流動する魔力の感覚を捉えられるようになったし元居た世界でも武術に関して武術専門の先生と肩を並べていたくらいだ。


それもあってスキルも近接戦闘に丁度いいものが多いのだろう。


智一は魔力を込めただけの武闘で敵をあっという間に片付けていった。




エルは女帝鎌オシリスアをまるで風が通り過ぎたかのように素早く振り急所を確実に当ててほぼ一撃で倒している。




「このペースなら問題ないかな。ってうぉ?!」




女王蟻がエルに攻撃してきた。足が刃物のように鋭く尖っているため地面が容易に浅く裂けた。




「何?かまってほしいの?」


(私が先に御取になっておくか。)




エルはスチールアント数体を切り落としたあとスチールクイーンアントに対して攻撃を仕掛けた。




ミナはルーク、ユンタと連携を取りつつ順調に物事を進めてくれている。

スチールアントが麻痺牙でミナに噛みついた。




「効きません!」




ミナの洋服と守護神の加護、ローブによってほとんどの悪状態が効かずレベルも上がっているのでビクともしない。




「石弾。」




連射しても敵には当たらなかった。しかしこれは誘導にすぎない。後ろからルークがシャドウダイブで移動攻撃し、ウィンドブレスによる強風と風の刃によってスチールアントは動かせる部位を失い死亡した。


なんとか生き残ったのはユンタが闇魔法:シャドウカッターというしたからサメの背びれのように向かっていく魔法で切り裂いていく。




「やりましたね。」


「ワウッ。」


「グルガウッ!」




さて、俺もそろそろ女王リーダーに嗾けてみますか。

大剣を軽く片手で振って炎斬を胸部に向けて飛ばして挑発を試みた。




「ギィィィィ...」




頭は単調らしいな。そのお陰で隙ができた。


エルはそれを見逃さず首に風切りを纏わせた鎌で連続で切りつけた。


そして立て続けに光追撃光線ライトミサイルと炎三連砲を魔法連撃で倍の速度でぶつけた。


スチールクイーンアントは頭をよろつかせている。効果はあったようだ。


智一も応戦してくれた。


智一はスチールクイーンアントの背中に飛び乗り背中の硬い甲殻に触れ息を深く吸った。


吸った酸素を拳に循環させ力ずよく下に押し込んだ。


女王はその重さに耐え切れず床に勢いよく身体を着けた。




「もうちょっと力込めるか。」




智一はガードブレイク数回と水流拳で甲殻を破壊し傷口に水を侵入させた。

女王は沁みる痛みにジタバタし落ち着けていない。




「そう居たがんなって。雷魔法:雷化拳!」




一瞬強い電撃が女王の腹部に走り女王は麻痺する。




(まだ倒れないのか…なら。)




智一は傷口に手を突っ込み内部で魔法を繰り出した。




「雷魔法:サンダーフィスト!!」




女王の全身に雷が走る。




「ギギギギギ!!」




スチールクイーンアントの全身は焦げて横倒れる。




「ふぅ。終了っと。」


「お疲れー。」


「おう。」


「こちらも片付きました。」


「ワフ。」


「グルゥ。」




意外にもあっさりと片付いた。50階層だからもう少し強いと予想していたが、そうでもない。

こちらが強くなり過ぎたのか、女王だから子を産むのに力を使ったのか、もしくは…




「ねえ?」


「あ、すまん。考え事をしてた。」




まあ、みんなのレベル上げにもつながったし良しとするか。


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