第四十四話 悪夢の浄化
「どこなんですかぁ?」
「ワウゥ…」
「グガウゥ。」
ミナ達にゴーストが近づく。
エルの方にも複数体現れる。
「またこいつらか。」
エルは鎌を取り出し構えるが、ゴースト達はすぐそばに現れた魔方陣に飛び込んでいった。
「ふぅ。ま、居なくなってくれるだけマシか。」
そのゴースト達はミュータントの所へ呼び出されていた。
ゴースト達は俺らを取り囲むように広がった。
「召喚ゴーストに戒めがかったミュータントさんか。面倒だな。」
「確かに少し前よりかは不利になった。でも俺らなら行けると思わないか?」
智一は微笑む。
「そうだな。俺らなら突破できる。」
すぐにモチベーションを取り戻した智一…いや元々行けると思っていた。
俺と同じく。
ゴーストが一斉に襲い掛かってきた。
智一は一歩後ろに下がった。
「鬼悲鳴・炎歌。」
聖炎纏いを混ぜた技。
ゴースト系は炎と光が弱点でありその両方の特性を生かした幽霊特化型の技だ。
「オオオオ!!」
周囲のゴーストは一掃した。残りのゴーストはそのまま突破できるだろう。
ミュータントも多少は効いたみたいだがまだぴんぴんしている。
智一は不規則な動きで相手に近づく。ミュータントは目でなんとか追い呪い纏った斧を横に振った。智一はなんらく避ける。
斧を振った際に武器周辺から呪いのオーラが膨れ上がり智一に向かって伸びる。
「おっと。」
智一には見切りの
「サンダーフィスト!」
触れないよう範囲技で返す。
俺もオーラを聖炎纏いとサポートで炎斬を飛ばす。
「おいおいさっきから同じ攻撃ばっかだぜ?やっぱり遺跡の傀儡なのか?」
ミュータントは智一を両手で捕まえようとするが
「嵐刃。」
俺はミュータントの両腕を強い嵐の筒で後ろに押し返した。
「サンキュー、淳也。」
智一はミュータントの頭を魔力で覆い器具の針が指先にくるよう変形させて指で刺し掴む。
『桜井智一は
「終わりだ。
ミュータントの頭に高電圧がかかり全身に電流する。頭は焼け落ち膝から倒れた。
「討伐成功。やったな、智一。」
「ああ。途中サポート上手かったぜ。」
「どうも。」
『桜井智一のレベルが上がりました。 Lv117 称号:虚空霊浄化人を会得しました。
ミュータントの心臓をほじくり起こした。中には鍵が入っていた。
「ビンゴだ。」
「でも二人と二頭には悪いことしたな。」
腕輪の連絡リンクですぐに呼び戻した。
「見つかったって?おめでとう。」
「悪いな。大変な事させちゃって。」
「いいんですよ。それに」
ミナが珍しくウキウキになって鞄から拾ったものを取り出した。
どうやらかなり高価なものが眠っていたらしい。細かな装飾をされており素材はランクS以上の鉱石で作られている。
「なにか必要になると思って色々と拾っておいたんですよ。」
「ワウッ」
「グルガァ」
「すげぇじゃんミナ。」
ユンタとルークも自分たちも頑張ったんだからと言わんばかりにドヤ顔している。
「えへへ。私だけの力じゃないんですけどね。」
智一に褒められて嬉しそうにするミナ。どうやら仲直りしてくれたらしい。
「そうだ。淳也君に調べてほしい物があってさ。」
エルが取り出したのはエメラルドグリーンの輝く宝石だった。
「鑑定しても解析不可なんだよ。」
「なるほど。」
俺は
『検索しています・・・検索結果32件』
なにやら関係のない情報まで出てきてしまった。
もしかして、高く売れるかも?とか私が占って差し上げましょう。など完全に宣伝ものばかりだ。
もっと情報は...ん?
宝石をよく見ると真ん中に植物を表すような模様かあった。
俺は再度検索してみた。すると、俺が求めていたジャンルの重要なものだった。
「五大遺跡の水晶...」
かつて存在した“道ヲ示ス者”が危険な存在であるため五つの遺跡に何かに分けて封じ込めたと言われている。
その時彗星のようなものが空を飛び交ったため飛ばされたものは水晶であるとされた。
とてもいい状態だが、しかしなぜこんなにも早く入手できたのかということだ。
過去に記載されてないだけで実は誰かがここまで持ち帰ったとか?
(賢者とかか?)
(神様ですかね?)
(狂人…)
でもそれなら猶更この先を探索したい。
「皆大丈夫?」
「ああ、ただちょっとお腹空いた。」
「そういえば昼まだだもんね。」
「私こんなこともあろうかと朝食作っておきました。もちろんユンタとルークの分もね。」
「ワウゥ。」
「ぐるがうっ。」
「ありがとうミナ。」
ここは暗いしちょっとゴーストが湧きやすかったのでどうしようかと思ったがサン・ポットの追加と結界魔法自動式巨大レジャーシートをミナが持っていたので安心して食べることができた。お化け屋敷飯遠足。
加えて手洗い用の放水玉まで出してくれた。
「いろいろとありがとな。」
「いえ、それに私あまり皆にの役にあまり立ててないですし…」
…やっぱり気にしているのだろうか。上位悪魔アークデーモンの時のこと。
エルが大丈夫、そんなことないよと言いそうになる前に智一が動く。
「そんなことないぜ。ミナは器用だし、異世界の事に関して博識だし料理はできるし自分の力を把握してその中から一番最善の戦い方を工夫しているし、何より可愛い。」
ボフン
ミナから煙が出た。恥ずかしがっているのだろう。
智一はミナの頭に手を置き、そっと撫でた。優しく語る。
「だからさ、役に立てないなんてそんなこと言うなよ。悲しいだろ。ミナはミナなりに努力して俺らをを支えられている。それで十分嬉しい。でも俺はいてくれるだけで嬉しい。」
ミナは少し泣いてしまったが、同時に嬉しそうだ。
「全く、智一さんは人に寄り添うのが上手いですね。」
よかったなミナと思っていたがそれ以前に智一のが告白だということに気づいた俺とエルは黙っておくことにした。
((早く結婚しろよ。))
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